リンパ系疾患の理解に重要なリンパ系のしくみ
『本当に大切なことが1冊でわかる循環器』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回はリンパ系のしくみについて解説します。
南澤ひとみ(静脈疾患)
新東京病院看護部
狩野周平(リンパ系疾患)
新東京病院看護部
〈目次〉
リンパ系疾患はどんな疾患?
リンパ浮腫の定義は、国際リンパ学会では「リンパ系の機能不全と輸送障害による高タンパクの組織液が貯留し起こる症状」とされています。何らかの原因により、リンパ液がリンパ還流に入らず体内に貯留した状態のことを意味します。
リンパ系疾患は、静脈系浮腫なのかリンパ系浮腫なのかをアセスメントすることが大切です。
リンパ系のしくみとはたらき
血漿成分のうち、毛細血管に再吸収されなかった約10%の間質液(約90%は再吸収される)が、リンパ管に吸収されてリンパ節に流れてきます。このリンパ管に流入する間質液を、リンパ液といいます(図1)。
リンパ液はリンパ管に流入した後、胸管または右リンパ本幹を介して中心静脈系に流入します。そして静脈系の流れに戻ります。
図1リンパ系のしくみ1)
リンパ管には静脈同様に弁があり、逆流を防止しています。筋の収縮時に発生する圧で移動します。
リンパ液には細胞から出た老廃物や細菌・ウイルスなどの異物が含まれており、中心静脈系に流入する前にリンパ節を通過する際に異物が濾過されます。そのためリンパ節には、リンパ球、マクロファージ、樹状細胞が大量に存在し、流れてきた異物に対して免疫反応を起こしており、リンパ節は免疫系においても重要な役割を果たしています。
リンパ節は、表在リンパ節と深部リンパ節に分けられ、表在リンパ節は皮膚の直下に存在し、全身に分布しています。特に頸部、腋窩、鼠径部に集中しています。
文献
- 1)リンパ管疾患情報ステーション:リンパ管とは?.(2019.09.01アクセス)
- 2)大八木秀和:まるごと図解 循環器疾患.照林社,東京,2013.
- 3)黒澤博身総監修:全部見える 循環器疾患.成美堂出版,東京,2012.
- 4)医療情報科学研究所編:病気がみえる vol.2循環器 第4版.メディックメディア,東京,2017.
本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。
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[出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 循環器 第2版』 編集/新東京病院看護部/2020年2月刊行/ 照林社