免疫の調節はどうやって行われるの?

『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は免疫の調節について解説します。

 

山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長

 

免疫の調節はどうやって行われるの?

免疫システムは生体防御を担っています。免疫系で働く細胞は、樹状細胞マクロファージ、ヘルパーT細胞、B細胞、プラズマ(形質)細胞、メモリーB細胞のほか、生体内で免疫システムが過重負荷にならないように制御する制御性T細胞もあります。また、細胞性免疫にかかわる細胞傷害性T細胞も含まれます。

 

これら各種の免疫細胞間で、情報を伝達する液性因子が免疫情報伝達物質(サイトカインケモカインです。これらが協力しあって、免疫システムは作動しています。

 

たとえば、エイズウイルスはヘルパーT細胞やマクロファージに感染してこれらを破壊します。このため、細胞性免疫が障害してしまいます。

 

MEMO1貪食作用

貪食(どんしょく)作用は、好中球、単球(マクロファージ)が細菌、ウイルスなどの異物を細胞内に取り込み、分解すること。自然免疫を担当しています。

MEMO2サイトカイン

いろいろな細胞が分泌する微量で生理活性をする細胞間情報伝達物質のことをいいます。インターロイキン、インターフェロン、ケモカイン、腫瘍壊死因子、コロニー刺激因子などがあります。

MEMO3樹状細胞

異物(抗原)をT細胞やB細胞に提示します。抗原提示細胞としてはマクロファージよりも優れています。

MEMO4ケモカイン

白血球などの遊走を引き起こし、炎症の形成に関与するサイトカインです。

 

※編集部注※

当記事は、2019年7月9日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック 第2版』 (監修)山田幸宏/2023年8月刊行/ サイオ出版

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