免疫グロブリン(抗体)って何?
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は免疫グロブリンについて説明します。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
免疫グロブリン(抗体)って何?
免疫グロブリンはプラズマ(形質)細胞中で、抗原に合わせてつくられる構造のタンパク質のことで抗体ともいいます。
免疫グロブリンは2本の重鎖(じゅうさ、H鎖)と2本の軽鎖(けいさ、L鎖)から構成され、Y字型をしています。プラズマ細胞から産生される免疫グロブリンはIgG、IgA、IgM、IgD、IgEの5種類で、それぞれ異なる役割を果たしています。
IgG
血清中に最も多く存在する免疫グロブリンで、細菌やウイルスに対する防御を担っています。γグロブリンともよばれます。胎盤を通過することができるため、母親から胎児に移行し、生まれてからの数か月、乳児の身体を守るために働きます。
IgA
分泌型IgAと血清IgAの2種類がありますが、多くは分泌型IgAです。分泌型IgAは、唾液や気管支分泌液、鼻汁、腸管分泌液、腟分泌液、前立腺分泌液などの外分泌液中に含まれ、粘膜の防御に働きます。
IgM
感染初期(急性期)に産生される免疫グロブリンで、赤血球凝集反応を引き起こす自然抗体です。
IgD
B細胞の表面に発現する抗原受容体です。
IgE
マスト(肥満)細胞の膜表面にあるFc受容体に結合し、I型アレルギーをひき起こします。
※編集部注※
当記事は、2019年7月2日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック 第2版』 (監修)山田幸宏/2023年8月刊行/ サイオ出版