抗体はどうやってできるの?
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は抗体のできるプロセスについて説明します。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
抗体はどうやってできるの?
病原体が体内に侵入してくると、好中球や樹状細胞、マクロファージがそれらの病原体を貪食します。そのとき、樹状細胞やマクロファージは貪食した病原体を細胞内で部分分解し、その分解産物であるタンパク質を自身の膜表面に旗のように掲げます。
このような働きのある樹状細胞、マクロファージを抗原提示細胞といい、この膜表面に掲げられた分解産物を抗原決定基(エピトープ)といいます。
血液中にはこのエピトープに反応するT細胞とB細胞のセット(このセットをクローンといいます)があり、エピトープを認識し、活性化します。B細胞は非タンパク質抗原の場合は直接、あるいはタンパク質抗原の場合はT細胞の助けで分裂増殖を繰り返し、数を増やします。
B細胞の数がある程度増えると、今度はT細胞の助けで、プラズマ(形質)細胞へと分化します。プラズマ細胞は、エピトープに特異的に反応する5種類の抗体(IgA、IgD、IgE、IgG、IgM)を産生します。このように、B細胞を補助するT細胞をヘルパーT細胞といいます(図1)。
図1B細胞の機能
なお、プラズマ(形質)細胞に分化しなかった一部のB細胞は、抗原情報を記憶したメモリー(記憶)B細胞として体内にとどまります。メモリーB細胞は以後、同じ抗原が再び侵入したときの備えになります。
ヘルパーT細胞やメモリーB細胞が関与する免疫を細胞性免疫、抗体が関与する免疫を液性免疫といいます。
※編集部注※
当記事は、2017年7月2日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック 第2版』 (監修)山田幸宏/2023年8月刊行/ サイオ出版