抗原と抗体ってどういうもの?
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は抗原と抗体について説明します。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
抗原と抗体ってどういうもの?
抗原とは免疫応答を引き起こす物質のことです。タンパク質や多糖から成り立ち、免疫システムが異物を認識するときの標的になります。
抗原にはウイルス、細菌、真菌(カビ)、微生物、原虫(単細胞生物)、寄生虫、植物細胞(花粉)、異種の動物などがあり、自然界に存在するものだけでもきわめて多数あります。また、人工的につくり出した化学物質も抗原になり得ます。
こうした異物が体内に侵入したとき、対抗する物質としてつくられるのが抗体です。抗体もタンパク質の一種(γグロブリン)で、侵入してきた異物と結合する性質をもっています。
抗原と抗体は鍵と鍵穴に例えられます。Aという抗原に対する抗体(抗A)は、A抗原としか結合することができません。また、B抗原に対する抗体(抗B)は、B抗原としか結合することができません。A抗原と抗B、B抗原と抗Aは、決して結合することはないのです。
このように、結合する相手がしっかり決まっていることを特異性といいます。
※編集部注※
当記事は、2019年6月24日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック 第2版』 (監修)山田幸宏/2023年8月刊行/ サイオ出版