人工呼吸器による圧外傷の発見のために必要なフィジカルアセスメントは?
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『人工呼吸ケアのすべてがわかる本』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は「人工呼吸中の圧外傷の予防」に関するQ&Aです。
塚原大輔
日本看護協会看護研修学校認定看護師教育課程特定行為研修担当教員
圧外傷は、どのように予防すればいいの?
肺胞の過伸展を防ぐ肺保護戦略(一回換気量とプラトー圧の制限)と、肺胞の虚脱・再開通を防ぐオープンラングアプローチ(適切なPEEPをかけること)により、圧外傷を回避します。
〈目次〉
人工呼吸器による圧外傷
圧外傷は、肺保護戦略など十分なリスク管理を行ったとしても100%予防できるものではない。そのため、患者の治療にあたる医療スタッフが1つのチームとしてカンファレンスなどを行い、圧外傷のリスクに関する共通認識をもつことが必要となる。
毎日の観察のなかでフィジカルアセスメントを行うことで異常の早期発見が可能となり、患者の予後改善につなげることができる。
人工呼吸中のフィジカルアセスメント
フィジカルアセスメントとは、患者の主観的・客観的情報を収集し、これらの情報を統合することによって患者の状態を評価することである。
人工呼吸管理を要する患者は、鎮静・鎮痛管理が行われているが、鎮静深度によっては意思疎通が困難な状況にある(ただし、現在は、鎮静より鎮痛を優先して行うことや日中の鎮静中断が推奨されている)。
このような状況において患者の状態を評価するためには、身体診察(フィジカルイグザミネーション)の技術が重要となる(表1)。
視診 |
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触診 |
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聴診 |
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打診 |
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フィジカルイグザミネーションと血液検査データ、生体情報モニタ、人工呼吸器のグラフィックモニタなどの情報を統合することにより、患者の呼吸状態を全身状態と関連づけてアセスメントすることが可能となる。
圧外傷発見時に見られる異常所見を表2に示す。
身体所見 | |
モニタ所見 |
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本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『新・人工呼吸ケアのすべてがわかる本』 (編集)道又元裕/2016年1月刊行/ 照林社