体液にはどんなものが含まれているの?

『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は体液中の電解質について説明します。

 

山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長

 

体液にはどんなものが含まれているの?

体液成分は細胞内液と細胞外液とでは異なりますし、管内液と組織液とでも異なります。さらに、管内液のなかでも血漿とほかの液体では成分が異なります。しかし、そのどれにも共通して含まれているのが電解質で、生体の恒常性を一定に保つために重要な働きをしています。

 

なお、生体の恒常性の維持には血清タンパク質も大きな働きをしています。ここでは、電解質についてみてみましょう。

 

電解質は体液に含まれているさまざまな成分のうち、水に溶けたときに電離し、正(+)、または負(-)に荷電してイオンになる物質のことです。

 

細胞外液にはナトリウムイオン(Na+)が最も多く、そのほか炭酸水素イオン(HCO3-)、カリウムイオン(K+)、カルシウムイオン(Ca2+)、マグネシウムイオン(Mg2+)、塩素イオン(Cl-)などが含まれています。

 

細胞内液にはカリウムイオン(K)が最も多く、そのほかマグネシウムイオン(Mg2+)、ナトリウムイオン(Na+)などが含まれています。主な電解質の特徴は次のとおりです。

 

カルシウム

99%がリンと結合して骨やに存在し、1%は血液中にあります。血中のカルシウム濃度は常4.5~5.6mEq/Lに維持されています。

 

ナトリウム

細胞外液成分として細胞外液量や浸透圧を調節する役割を果たしています。

 

塩素(クロール)

細胞外液成分として浸透圧を調節する役割を果たしています。

 

カリウム

細胞内液に多く含まれており、細胞内液の浸透圧やpHを調節しています。

 

リン

85%は骨や歯に存在し、浸透圧やpHの調整を行います。

 

マグネシウム

50~60%は骨の成分として存在し、神経や筋の機能維持を行っています。

 

これらの電解質は、体液の分布を調節して一定に保つだけでなく、体液の浸透圧平衡MEMO)や酸塩基平衡を保ち、神経や筋の反応を正常に保つ働きをしています。

 

MEMO浸透圧平衡

体液の浸透圧を一定に保つことを浸透圧平衡といいます。脱水によって体内から水分が失われると、体液は濃縮されて浸透圧が上昇します。浸透圧が上昇すると、腎臓の尿細管での尿の再吸収量が増加し、体液が増えて浸透圧は一定に保たれます。

 

※編集部注※

当記事は、2018年12月10日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック 第2版』 (監修)山田幸宏/2023年8月刊行/ サイオ出版

SNSシェア

看護ケアトップへ