出生したあと、胎児循環はどうなるの?
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は出生後の胎児環境に関するQ&Aです。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
出生したあと、胎児循環はどうなるの?
出生を境に、胎児は劇的な変化を受け入れなければなりません。
まず、胎盤を通じて供給されていた酸素が突然ストップするわけですから、新生児は一時的に仮死状態になります。すると、血液中の二酸化炭素の濃度が上昇し、延髄の呼吸中枢が刺激され、初めての呼息が起こり、産声が出ます。
こうして第1回目の呼吸が起こり、次第に肺の肺胞が広がっていくと、肺循環が開始されます。
同時に、肺動脈と大動脈を連絡していた動脈管(ボタロー管)がただちに閉鎖されます。動脈管が開いている状態では、新生児の肺に血液が送られないからです。こうして肺に血液が流れるようになり、呼吸によって肺に取り込まれた空気との間で、外呼吸が行われるようになります。
また、肝臓に血液を送り込む門脈にも血液が流れるようになり、母乳やミルクなどを体で利用できる形に変える代謝も行えるようになります。
COLUMN遺伝子の組み合わせによる性の決定
遺伝子の組み合わせにより、受精卵が将来的にどのような性に分化していくのかが決定します。性の決定に係わるのは性染色体で、性染色体がXXの場合は女性に、XYの場合は男性になります。それでは、卵子と精子はどのような性染色体を持っているのでしょう。
卵子は女性に由来しますので、すべてXという性染色体を持っています。一方の精子は男性に由来しますので、Xという染色体を持つものと、Yという染色体を持つものが半々ということになります。
理論的には、XXとXYの組み合わせを持つ受精卵は同じ数になるはずですが、Y染色体は小さくて軽いため、実際にはY染色体を持つ精子のほうが運動性がよく、早く卵子に到達して受精する機会が増えます。そのために女性が100に対して男性は105と、男子の出生のほうが多くなっています。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版