分娩はどのようにして起きるの?
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は分娩に関するQ&Aです。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
分娩はどのようにして起きるの?
妊娠も31〜34週になると、胎児は頭を下に向けた姿勢を取るようになり、出産の準備が次第に整っていきます。そして40週が近づく頃、胎児の体重は3,000gに達し、いよいよ分娩に向けての秒読みが始まります。
まず、胎盤からのプロゲステロンの分泌が弱まると(MEMO1)、下垂体前葉からオキシトシンという子宮を収縮させるホルモンが分泌され始めます(MEMO2)。オキシトシンが胎盤を刺激すると、プロスタグランジンが放出されます(MEMO3)。これらの物質によって子宮の収縮(陣痛)がさらに強まります。
陣痛が始まると、胎児は骨盤内深くに送り込まれます。すると、その圧力がストレスになって母体を刺激し、下垂体からのオキシトシンの分泌がさらに盛んになります。当初は不規則に起きていた子宮の収縮も、収縮を促すホルモンの分泌が盛んになるにつれて規則的になります。この収縮がさらにオキシトシンの分泌を促し、陣痛と陣痛の間隔も短くなってきます。
このようにして胎児は頭を先頭にして産道へと送り出されます。産道は胎児の頭で押し広げられ、羊膜が破れて羊水が流れ出ます。これを破水といいます。分娩開始から子宮頸管が開くまでの間を開口期といい、6〜12時間にわたって続きます。頸管が10cmほどに開いても、すぐに胎児が生まれるとは限りません。
10分程度で腟を通過する場合もありますし、何時間もかかる場合もあります。この時期を分娩期といい、胎児が娩出されます。娩出後、引き続き子宮は収縮し、胎盤や臍帯などの胎児付属物が排出されます。この時期を後産期といい、10〜30分ほど続きます。
MEMO2オキシトシン
子宮の収縮を促したり、乳汁の分泌を促す働きのあるホルモン。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版