糖質を毎食とる必要があるのはなぜ?
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は糖質の必要性に関するQ&Aです。
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山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
糖質を毎食とる必要があるのはなぜ?
1日3回、食事によって糖質を摂取しないと、身体に貯蔵されていた炭水化物が底をついて血糖値が下がってしまうからです。
糖質は米、パン、麺類などに含まれる栄養素で、主なエネルギー源になります。体内ではグリコーゲンやグルコースのかたちで貯蔵されますが、備蓄できる量はごく少量にすぎません。最も多く貯蔵できるのが筋で300g(1,200kcal)、次いで肝臓が100g(400kcal)、血液全体では15g(60kcal)、脳には2g(8kcal)が貯蔵できます。肝臓のグリコーゲンは、血糖を維持するために必要に応じてグルコースのかたちになり、血液中に送り込まれると各組織の活動エネルギーになります。
最低限の生命維持だけでも毎分1~1.2kcalが必要とされるため、体内に貯蔵している糖質をすべて使い切っても、わずか7時間しかエネルギー補給ができません。この段階で糖質が補給されないと、血糖値は低下していきます。
身体には、危機管理システムが備わっており、糖質の摂取が不足すると血糖値の低下を補うために、タンパク質(アミノ酸)や脂肪(グリセロール)を使ってグルコースをつくり出し、血糖値を一定にします。これを糖新生(とうしんせい)といいます。
しかし、糖新生が行われるとタンパク質の合成が阻害されるという弊害ももたらされます。ダイエットで炭水化物を減らしすぎると、筋の量が減ってしまうのはこのためです。
糖質の摂取量が多すぎると脂肪に転換され、脂質代謝異常(コレステロール値の増加、中性脂肪値の増加)を起こす原因になります。
※編集部注※
当記事は、2017年2月9日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック 第2版』 (監修)山田幸宏/2023年8月刊行/ サイオ出版