下痢はなぜ起こるの?
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
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今回は「下痢」に関するQ&Aです。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
下痢はなぜ起きるの?
下痢は腸の蠕動運動の亢進、腸管の水分吸収の低下、腸管からの分泌物の増加などが原因で起こります。下痢を引き起こす因子が複雑に絡み合い、内容物が腸内を通過する時間が短くなると、大腸で十分に水分吸収されずに、水分を多く含んだ便(水様便)になります。
下痢を起こす原因は、食べすぎ、飲みすぎ、消化不良、炎症性腸疾患(IBD;潰瘍性大腸炎、クローン病)、過敏性腸症候群(IBS)、薬物や下剤の乱用などです。食べすぎや飲みすぎで下痢になるのは、腸内容物の浸透圧が高くなって水分が腸管内に多量に保持されると、内容物の量が増え、腸の粘膜が刺激されて蠕動運動が亢進するためです。
そのほか、食中毒などの感染症にかかると、毒素が小腸上皮を刺激してリーベルキューン腺(結腸陰窩)から大量の水分が分泌され、下痢になります。
MEMO炎症性腸疾患(IBD)
主として胃腸管(消化管)に原因不明の炎症を起こす慢性疾患の総称で、潰瘍性大腸炎、クローン病の2疾患。
MEMO過敏性腸症候群(IBS)
不安やストレス、緊張などで自律神経系が乱れると、腸の運動や分泌機能が過敏になり、便通異常になります。下痢、便秘、あるいは両方を交互に繰り返します。
※編集部注※
当記事は、2016年10月24日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版