ホルモンの化学構造|内分泌

看護師のための生理学の解説書『図解ワンポイント生理学』より。

 

[前回の内容]

内分泌の特徴|内分泌

 

今回は、ホルモンの化学構造について解説します。

 

内田勝雄
山形県立保健医療大学名誉教授

 

〈目次〉

 

Summary

  • 1. ホルモンは化学構造からペプチドホルモン、ステロイドホルモンおよびアミン、アミノ酸型ホルモンの3種に大別される。
  • 2. ホルモン受容体の局在は、ホルモンが水溶性ならば細胞膜、脂溶性ならば核内または細胞質となる。

 

ホルモンの化学構造による分類

ホルモンは化学構造から以下の3種に分類される(表1図1)。

 

表1化学構造によるホルモンの分類

化学構造によるホルモンの分類

 

図1各ホルモンの受容体

各ホルモンの受容体

 

  1. ペプチドホルモン〔 peptide hormone 〕

アミノ酸がペプチド結合でつながったトリペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチドがある。アミノ酸の数は最小の3個からタンパク質の大きさに相当する40個以上まである。水溶性(hydrophilic)で、ホルモン受容体は細胞膜(plasma membrane)にある。

 

  1. ステロイドホルモン〔 steroid hormone 〕

コレステロール(cholesterol)を骨格にもつホルモンで、副腎皮質ホルモン(corticoid)と性ホルモン(sex hormone)がある。コレステロールは脂溶性(lipophilic〔hydrophobic〕)なのでステロイドホルモンは細胞膜を通る。ホルモン受容体は、(nucleus)または細胞質(cytosol)にある。

 

  1. アミン、アミノ酸型ホルモン〔 amine- or amino acid-type hormone 〕

アミン(-NH2)型ホルモンとしてはアドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどのカテコールアミン(catecholamine)がある。カテコールアミンは、カテコール基C6H4(OH)2という脂溶性部分をもつが2個のOH基が水溶性で全体としては水溶性となり、ペプチドホルモン同様、細胞膜にあるホルモン受容体と結合する。

 

アミノ酸型ホルモンは甲状腺ホルモン(T3および T4)だけである。アミノ酸は本来、水溶性であるが、甲状腺ホルモンはベンゼン環を2個ももつ化合物なので脂溶性である。甲状腺ホルモンはステロイドホルモン同様、細胞膜を通り、ホルモン受容体は核にある。ホルモンを化学構造で分類すると表1のようになる。

 

※編集部注※

当記事は、2017年1月22日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。

 

[次回]

内分泌の階層的調節|内分泌

 

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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『図解ワンポイント 生理学 第2版』 (著者)片野由美、内田勝雄/2024年7月刊行/ サイオ出版

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