内分泌の階層的調節|内分泌
看護師のための生理学の解説書『図解ワンポイント生理学』より。
[前回の内容]
今回は、内分泌の階層的調節について解説します。
内田勝雄
山形県立保健医療大学名誉教授
〈目次〉
Summary
- 1. 内分泌の中枢は視床下部にある。
- 2. 視床下部ホルホンは放出ホルモンで、下垂体前葉に作用して刺激ホルモンを放出させる。
- 3. 下垂体前葉ホルモンは刺激ホルモンで、内分泌腺に作用してホルモン分泌を刺激する。
- 4. 内分泌腺はホルモンを分泌して、それが血液により標的器官まで運ばれ生理作用を発揮する。
- 5. ホルモンが過剰になるとネガティブ・フィードバックにより分泌を抑制させる。
視床下部ホルモンと下垂体前葉ホルモン
内分泌の中枢は視床下部(hypothalamus)にある。
視床下部から分泌される視床下部ホルモンは、放出ホルモン(releasing hormone、RH)で下垂体前葉(anterior pituitary)に作用して下垂体前葉ホルモンを放出させる(放出を抑制するホルモンもある)。
下垂体前葉ホルモンは、刺激ホルモン(stimulating hormone、SH)で、各内分泌腺(gland)に作用して、それぞれのホルモンを分泌させる。刺激ホルモンの作用により分泌した各ホルモンは、それぞれの標的器官(target organ)に作用して生理作用を発揮する。
ネガティブ・フィードバック(図1)
図1内分泌の階層的調節(甲状腺ホルモンの例)
あるホルモンが過剰になると、そのホルモンが視床下部あるいは下垂体前葉に作用し、放出ホルモンあるいは刺激ホルモンの分泌が抑制される(「ネガティブ・フィードバック」参照)。
内分泌の調節では、このようなネガティブ・フィードバック(negative feedback)が一般的であるが、エストロゲンによる黄体形成ホルモンの大量分泌(LHサージ)は例外で、ポジティブ・フィードバックによる調節である(「卵巣ホルモン」参照)。
※編集部注※
当記事は、2017年1月27日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。
[次回]
視床下部ホルモンと下垂体前葉ホルモン|内分泌
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『図解ワンポイント 生理学 第2版』 (著者)片野由美、内田勝雄/2024年7月刊行/ サイオ出版