視床下部ホルモン|内分泌
看護師のための生理学の解説書『図解ワンポイント生理学』より。
今回は、視床下部ホルモンについて解説します。
片野由美
山形大学医学部名誉教授
内田勝雄
山形県立保健医療大学名誉教授
〈目次〉
視床下部ホルモン
Summary
- 視床下部ホルモンは、下垂体前葉に作用する放出ホルモンあるいは放出抑制ホルモンである。
- 視床下部ホルモンは、すべてペプチドホルモンである。
- 視床下部ホルモンは、視床下部の神経核でつくられ軸索を介して下垂体前葉に運ばれる。
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グレリン ghrelin は胃から分泌されるペプチド(28個のアミノ酸からなる)で、成長ホルモンの分泌促進、摂食促進などの生理作用がある。グレリンは末梢から中枢に空腹を伝える現在知られている唯一の物質で、空腹時に増加し摂食とともに低下する(脂肪細胞から分泌されるレプチンは食欲を抑制させる。『内分泌様器官』表1参照)。グレリンは、1999年に寒川賢治氏(現国立循環器病センター研究所所長)らによって発見された。 ghre には、 grow の意味があるのでghrelin は成長を促進させる物質という意味になる。
放出ホルモン
視床下部ホルモン hypothalamic hormone のうち放出ホルモン(RH)は、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、プロラクチン放出ホルモン(PRH)およびメラニン細胞刺激ホルモン放出ホルモンである。視床下部ホルモンは視床下部の神経核でつくられて軸索を介して運ばれ、下垂体前葉に作用して刺激ホルモン(SH)を放出させる。
放出ホルモンはすべてペプチドホルモンである。TRHはわずか3個のアミノ酸からなるトリペプチドで、現在知られているホルモンのなかで最も小さい。一方、CRHは41個のアミノ酸、GHRHは44個のアミノ酸からなるポリペプチドで、タンパク質といってよいほどの高分子化合物である。
また、視床下部ホルモンには表2のような抑制ホルモンもある。
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プロラクチン抑制ホルモン(PIH)の実体はドーパミンである。γ-アミノ酪酸 γ- aminobutyric acid (GABA)にも、プロラクチンの分泌を抑制する作用がある。
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 図解ワンポイント 生理学』 (著者)片野由美、内田勝雄/2015年5月刊行/ サイオ出版