アレルギーテスト|皮膚科の検査
『看護に生かす検査マニュアル』より転載。
今回は、アレルギーテストについて解説します。
高木 康
昭和大学医学部教授
〈目次〉
アレルギーテストとはどんな検査か
皮膚のアレルギーは、主にⅠ型(即時型)アレルギーとⅣ型(遅延型)アレルギーが関与している。
Ⅰ型アレルギーに対して血液を採取し、IgEの量を調べることでアレルギーの有無や程度を数値化することができる。IgEはアレルゲンに対して無数に存在するため個々のアレルゲンに対するIgEを測定し、検査値によりアレルゲンを特定する。ある特異的なアレルゲンに対するIgEを個別に測定する検査を特異的IgE検査(RAST)、一方、不特定のIgEを調べる検査を非特異的IgE検査(RIST)という。また、ヒスタミン量を調べるヒスタミン遊離試験(HRT)も用いられる。スクリーニング検査として複数のアレルゲンを同時に測定するキットもある。
接触性皮膚炎やアトピー性皮膚炎に関与するⅣ型アレルギーに対しては、原因と考えられる物質を皮膚に貼付して反応をみる、パッチテストが有効である。
アレルギーテストの目的
抗原となるアレルゲンを同定することやアレルギーの重症度を判定するために行う。
アレルギーテストの実際
静脈血採血による血液検査
パッチテスト(図1)
- 背部や上腕など目立たない正常な皮膚に、アレルゲン物質のテスターを貼付する。
- 48時間経過後および72時間後にその反応を観察し、その強さを判定する。
アレルギーテストで注意すべきこと
血液検査
- 経口摂取の特異的IgEは、牛乳、小麦、ピーナッツ、卵など一部の蛋白質をのぞいて信頼性は高くない。
- ダニ、ハウスダストなど皮膚を介して起こるアレルギーについての信頼性は高い。
- 蕁麻疹、食物アレルギーにおけるヒスタミン遊離試験の信頼性は高い。
パッチテスト
- パッチを濡らすと物質が流出し正しい検査ができない。
- ステロイド剤を内服していると正しい結果が得られない。外用ステロイド剤の使用は検査部位以外であれば可能である。
- 掻爬したり擦ると正しい判定ができない。
- 必要に応じて検査部位にマーキングを行い、どの部位にどの物質の検査をしているのかわかるようにしておく。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 看護に生かす検査マニュアル 第2版』 (編著)高木康/2015年3月刊行/ サイオ出版