呼気終末二酸化炭素分圧測定

『ICU看護実践マニュアル』(サイオ出版)より転載。
今回は「呼気終末二酸化炭素分圧測定」について解説します。

 

長井龍一
市立青梅総合医療センター 看護師

田代勇気
市立青梅総合医療センター 臨床工学技士

 

 

 

Key point
  • 適正な換気状態であるか確認可能である。
  • 人工呼吸器や回路異常の早期発見や、患者状態の変化をアセスメントする。
  • ECMO離脱に向けての判断材料の1つである。

 

 

呼気終末二酸化炭素分圧測定の目的

呼気終末二酸化炭素分圧(end-tidal CO2:EtCO2)測定とは、二酸化炭素濃度により赤外線の吸収量が変化することを利用して、呼気に含まれるCO2濃度を測定することである。

 

 

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呼気終末二酸化炭素分圧測定の方法

気管チューブと人工呼吸器回路の間にサンプリングアダプタやセンサーを装着して、呼気時の二酸化炭素濃度を非侵襲的に連続的に測定する。

 

EtCO2の値はPaCO2とほぼ近似するが、通常2~5mmHg程度低い。

 

図1にメインストリーム方式のセンサーを示す。

 

図1EtCO2センサー

EtCO2センサー

 

CO2センサー自体を人工呼吸器の回路に装着するため、測定がリアルタイムでモニタリングが可能である。

 

小児から成人まで対応できるが、死腔が増加するだけでなく、ある程度重さがあるため気管チューブが折れ曲がらないよう固定する必要がある。

 

 

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EtCO2の正常・異常

EtCO2の測定値による状態は以下のとおりである。

 

  • 35mmHg未満:肺胞換気量増加、頻呼吸、無呼吸、空気の混入、気管チューブの閉塞
  • 35~45mmHg:正常範囲内
  • 45mmHg以上:肺胞換気量低下(閉塞性肺疾患、低換気)、肺血流増加(心拍出量増加、敗血症)、CO2産生増加(痙攣、疼痛、発熱)、呼吸器の呼気弁異常、設定換気量の不足)など

 

 

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留意点

PaCO2との差が大きくなる場合には、死腔換気やシャントの増加が考えられる。

 

EtCO2は呼吸・循環・代謝の影響を受けるため、他の因子の評価も同時に行う必要がある。

 

各勤務開始時、必要時一度、空気ゼロ点校正を行う。その際は、回路開放による肺胞の虚脱、感染症(COVID-19など)によるエアロゾルの拡散が懸念される。

 

したがって、ゼロ点校正のためのエアウェイアダプタを別途準備し使用して行う。

 

 

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用途

人工呼吸管理されている患者のEtCO2モニタリングを行うことで、PaCO2の経時推移を把握できるため、適正な換気状態であるか確認可能である。

 

人工呼吸器や回路異常(リークやチューブ閉塞・換気停止)の早期発見、患者状態の変化についてのアセスメント材料となり得る。

 

EtCO2は肺胞換気量のほか肺動脈血流量をも反映しているため、ECMO(経皮的心肺補助装置)管理下においてEtCO2の上昇は自己心機能の改善を意味しており、ECMO離脱に向けての判断材料となる可能性がある。

 

Point

分時換気量およびPCPS流量が一定の状態において、近年のガイドラインではCPRの質をモニタリングする際に、動脈血圧とともにEtCO2の値をパラメータとすることが指針として示されている。

 

 

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カプノグラム

呼吸ガス内の二酸化炭素(CO2)の変化を曲線で表した波形を、カプノグラムという(図2)。

 

図2EtCO2と代表的なカプノグラム

EtCO2と代表的なカプノグラム

出典:剱持雄二「カプノメータのチェック」『ICUケア観察ポイントチェック帳』,日総研出版,p.34,2006より改変

 

 

 

参考文献 閉じる

1)剱持雄二:カプノメータのチェック,ICU ケア観察ポイントチェック帳,東京,p.34,2006

 

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本連載は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『ICU看護実践マニュアル』 監修/肥留川賢一 編著/剱持 雄二 サイオ出版

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