知らなかったじゃ済まされない?いまさら聞けない2014年度診療報酬改定のポイント【2】

2年に1度行われる診療報酬改定は、看護師にとっても無視できない話題です。2014年4月に行われた診療報酬改定について、看護師として理解しておくべきポイントをおさらいする2回目です。

 

前回記事:診療報酬改定のポイント【1】在宅医療の推進

 

【看護師が知っておくべき2014年診療報酬改定 2つのポイント】

 

  1. 【1】在宅医療の推進
    •   ●機能評価型訪問看護ステーションの新設
    •   ●「在宅復帰率」を導入

  2. 【2】医療機関の機能分化
    •   ●7対1要件の厳格化
    •   ●地域包括ケア病棟の新設
    •   ●有床診療所の評価
    •   ●看護師の負担軽減策
      •    ・夜間の看護補助者の配置の評価引き上げ
      •    ・有床診療所の看護師配置の評価引き上げ

 

【まとめ】

  •   ●看護師の負担はどうなる?

 

 

診療報酬改定のポイント【2】医療機関の機能分化

在宅医療の推進」とあわせて2本柱のもう1本と柱となるのは、「医療機関の機能分化」です。機能分化とは、つまり急性期から慢性期にかけて、それぞれの病院が機能に応じた適切な患者の受け入れをするということです。

これは医療機関ごとの役割を明確にし、医療サービスを効率的に提供できるようにすることが目的です。そのために、「7対1」の要件を厳格化する方針が打ち出されました。

 

具体的には、「7対1」の病床は「高度急性期病床」として、重症度の高い患者を受け入れる機能を一手に担います。一方でこの要件に満たない病床は「一般急性期病床」、「亜急性期病床」として、より地域に密着し、在宅への橋渡しを担う機関としての役割を担うことになります。

 

 

●「7対1」の要件が厳格化―18万床まで半減

現状では、病床のなかで最も数が多いのは「7対1」の入院基本料を算定する病院です。この病床は、重症度の高い患者を治療しているという前提になっているはずですが、実はそれほど重症ではない患者が長期療養目的で入院している例が少なくないという指摘があります。

 

そこで、患者の状態に応じた適切な医療が提供されるように、改定では「7対1」の要件を厳しくして、病床数を絞り込んでいくために、具体的には、在院日数算定要件の見直しや医療・看護必要度、在宅復帰率などのハードルが設定されました。

ハードルを上げていくことで、約33万床ある7対1をとる「高度急性期」病床は、2025年にむけて18万床程度にまで減らす方向が打ち出されています。現在、「7対1」が最も多く、「13対1」が少ない病床の割合を、2025年にむけて「一般急性期」、「亜急性期」を増やす方向へ進んでいます。

 

(参考)
厚労省中央社会保険医療協議会資料より:52ページの2025年にむけた病床数のイメージ図

 

 

●「地域包括ケア病棟」を新設

急性期病床を減らす一方で、新たに「地域包括ケア病棟」が設けられました。この病棟は、急性期からの受け皿となり、在宅復帰へつなげていく役割が期待されています。
一般病床のみでなく、療養病床からの届出も可能で、既に転換を検討している病院もあるようです。

 

また、同じく機能分化の観点から、有床診療所の評価が引き上げられました。具体的には、看護師配置加算の点数が引き上げられ、さらに有床診療所でも看護補助者の配置を評価する点数が新設されました。

 

 

●夜間の看護補助者配置を評価 看護師の負担軽減へ

診療報酬改定では、毎回、看護職員の負担軽減についても協議が行われています。その中で、今回改定では、夜間の看護補助者の配置に関する評価が引き上げられました。従来の点数区分である「50対1」、「100対1」に加えて、新たに「25対1」という区分が設けられました。

 

さらに加算点数も、最高10点だったのが35点にまで大きく引き上げられました。このように看護補助者を配置する病院を手厚く評価し、看護師の負担を軽減する体制を推進する取り組みが進められました。

 

(参考)

厚労省中央社会保険医療協議会資料より:156ページの夜間急性期看護補助体制加算新旧対照表

 

【まとめ】「7対1」の要件厳格化で看護師には負担増も?

今回改定でハードルのあがった「7対1」を継続できる病院は、「重症患者が15%以上」などの要件をクリアした病床であり、受け入れ患者の看護ケア必要度は高くなると考えられます。そのため、働く看護師にとっての業務負担という面では、もしかしたら負担は増える結果となるかもしれません。

 

また要件をクリアできなかった病床は、「10対1」あるいは「地域包括ケア病棟」へと移行してくことが予想されます。急性期から在宅への橋渡し機能がもとめられる「地域包括ケア病棟」にも、それなりの重症度の患者が入院することが予想されるため、やはり看護職員にはそれなりの負担がかかるでしょう。一方で、「7対1」から「10対1」へ移行した施設では、看護職員の人数が削減されることが予想されます。

 

 

次回の診療報改定は2016年度です。また、2015年には介護報酬改定も行われます。診療報酬、介護報酬は両輪として、今後ますます在宅医療にむけて大きく舵を切っていくことになります。看護・介護職員の負担を減らしつつ、いかにして大量の高齢者を受け入れていくのか。地域包括ケアシステムもふくめた、今後の制度改正が注目されます。

 

 

(参考)

厚生労働省 2014年度診療報酬改定について

TERUMO TERUNET 2014年度新設の「地域包括ケア病棟」転換を検証する

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