在宅医療とは・・・
在宅医療(ざいたくいりょう)とは、通院が困難な患者に対し、自宅あるいは施設などに医療従事者が訪問し、医療サービスを提供することを差す。
背景
日本では、ほかの先進国と比べても極めて急速に高齢化が進展している。2025年には、人口の多い団塊の世代が一気に75歳以上の後期高齢者となり、およそ5人に1人が75歳以上となる(2025年問題)。65歳以上の前期高齢者もあわせると、その割合は30%にのぼり、国民の3人に1人が高齢者という超高齢化社会となる。
これに対して、現状でもすでに慢性的な人出不足に悩む医療現場では、増え続ける高齢者を入院医療で支え続けることが困難な状況にある。そこで政府は、“入院から在宅へ”という大きなテーマを掲げ、在院日数の短縮などとあわせて、急性期を過ぎた患者ができるだけ自宅で入院と同じレベルの医療サービスが受けられる在宅医療を積極的に進めている。
在宅医療にかかわる専門職種
在宅医療には多くの専門職種がかかわっている。医師はもちろんのこと、歯科医師も訪問歯科診療を提供する。訪問看護ステーションなどを拠点に在宅で活躍する看護師は、在宅医療の中心的存在でもある。そのほか、薬剤師、理学療法士や作業療法士などリハビリテーション関係、歯科衛生士、栄養士などがチームとして患者にかかわることになる。
課題
病院などの医療現場と同じで、いかに人材を集めるかが課題。日本看護協会によれば、全就業看護師のうち訪問看護師はわずか2%程度。今後ますます在宅医療のニーズが高まることを考えると、人材の育成が緊急の課題。
ポイント
病院のチーム医療と大きく違うのは、医療職種だけでなく介護職との連携が重要になる点である。在宅患者の多くが終末期の患者であることを考えると、介護を担うヘルパーやケアマネジャーなどとの連携は欠かせない。診療報酬でも、医療と介護の協力に点数をつけて、連携を進めていく方針を打ち出している。