骨髄穿刺とは・・・
骨髄穿刺(こつずいせんし)とは、骨髄液を採取して塗抹標本を作製する検査である。骨髄の造血能の異常が疑われる場合に、骨髄細胞一つ一つの形態を評価し、骨髄に異常をきたす疾患の診断、分類、治療効果の判定を行う。
適応
・原因不明の貧血、血小板減少、汎血球減少の原因検索
・血液腫瘍の診断と経過観察(急性白血病、慢性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、再生不良性貧血など)
・がん、肉腫など悪性固形腫瘍の骨髄浸潤が疑われる場合・先天性代謝疾患(ゴーシェ病、ニーマン・ピック病など)
・その他(不明熱、結核、組織球増殖症など)
方法
穿刺部位
成人:後腸骨棘、胸骨(後腸骨稜が使えない時のみ)
小児:後腸骨棘、脊椎骨棘突起,脛骨など
穿刺方法
清潔操作で行う。穿刺部位を局所麻酔した際に、皮膚から骨までの深さを確認し、その深さに5 mm程度加えた長さを骨髄穿刺針のストッパーから針先までの長さにする。母指球と人差し指で骨髄穿刺針を固定し、穿刺部位の皮膚を反対の手で固定し穿刺する。急に抵抗がなくなったところが骨髄であり、穿刺針が手を離しても倒れずに立つようになったところで内筒針を抜き、シリンジ(通常10mL)を接続し、末梢血を含まないよう素早く0.3~0.5mLの骨髄血を吸引する。術者と別の医師または検査技師が、採取した骨髄血を時計皿に移して標本作成を行う。
骨髄穿刺検体を用いて行われる検査
・塗抹標本、すりつぶし標本を用いて、May-Giemsa染色、Wright-Giemsa染色、ミエロペルオキシダーゼ染色、細胞化学染色
・有核細胞数、巨核球数の計測
・フローサイトメトリーによる細胞表面マーカーの同定
・FISH法
・染色体検査(G分染法)
・遺伝子検査(PCR、RT-PCRなど)
・結核菌の培養
注意点
・胸骨は縦隔血腫や心タンポナーデの危険があるため、穿刺部位の第一選択とはならない。また、多発性骨髄腫や高齢で骨がもろい場合、胸骨は選択すべきでない。
・骨髄に針が届いて吸引するときの痛みは局所麻酔では抑えられないため、痛みが生じることを患者に伝えておくとよい。
・一般的に骨髄穿刺がどうしても必要な場合、絶対的禁忌はない。血小板減少や凝固異常のある場合は、輸血や圧迫止血など十分な対処を行い、出血合併症がないか観察する必要がある。
・骨髄穿刺で何も吸引できないとき(dry tap)は、ほかの部位で試みるか、骨髄生検を行う。