慢性骨髄性白血病とは・・・
慢性骨髄性白血病(まんせいこつずいせいはっけつびょう/chronic myelogenous leukemia/CML)とは、造血幹細胞の遺伝子の変異により、造血幹細胞が腫瘍化し、主として顆粒球系細胞(好中球、好酸球、好塩基球)が無制限に増殖する骨髄増殖性疾患の一つである。白血病の20%程度を占め、急性骨髄性白血病が慢性化した疾患ではなく、別の病態である。
慢性骨髄性白血病の90%以上に、9番染色体と22番染色体の相互転座である異常染色体「フィラデルフィア染色体」が認められる。この相互転座により、9番染色体に存在するabl遺伝子と22番染色体に存在するbcr遺伝子が融合した結果、bcr/ablチロシンキナーゼが産生される。この酵素は正常では存在しないタンパクで、細胞増殖などの経路を過剰に活性化することが慢性骨髄性白血病の病態と考えられている。
検査・診断
人口10万人当たり年間1人程度の発症頻度で、発症率は年齢とともに増加し、発症年齢の中央値は50~60歳である。骨髄や末梢血のFISH法による染色体分析を行い、bcr/abl融合遺伝子を検出することで診断する。骨髄検査では各成熟段階の骨髄系細胞が見られる。末梢血では白血球、ときには血小板の増加を認める。
病期
慢性期、移行期、急性転化期の3つに分けられる。
慢性期
白血球は増加しているが症状は乏しい。末梢血の芽球(未熟な細胞)は少ないが、白血球、特に好酸球や好塩基球の増加を認め、健康診断や他の疾患治療中の血液検査をきっかけに発見される場合もある。
移行期
芽球の増加、血小板の増加あるいは減少、脾腫、発熱などが見られる。
急性転化期
急性白血病様の病態となり、芽球が著しく増加し、感染や出血を合併する。移行期を経ずに慢性期から突然急性転化する場合もある。
慢性期の段階で治療を開始し、進行を防ぐことが長期生存の鍵である。慢性期治療が奏功しない場合や、治療を開始しなかった場合は3~5年で、移行期あるいは急性転化期に進行する。移行期、急性転化期の治療成功率は低く、予後不良である。
治療法
abl-bcrチロシンキナーゼ阻害薬であるイマチニブ、ニロチニブ、ダサチニブが慢性期治療の第一選択薬である。チロシンキナーゼ阻害薬が使用できない場合は、化学療法併用・非併用のインターフェロン治療も選択肢に挙がる。チロシンキナーゼ阻害薬の効果が乏しい場合や、移行期、急性転化期では、急性白血病に準じた多剤併用化学療法や造血幹細胞移植を行う。