多血症とは・・・
多血症(たけつしょう/erythrocytosis)とは、末梢血中の赤血球、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値が基準範囲を超えて増加している状態のことである。赤血球増加症とも呼ばれる。
分類
多血症は、絶対的多血症と相対的多血症に分類され、さらに絶対的多血症は真性多血症と二次性多血症に分類される。
絶対的多血症とは、循環赤血球量が増加しているものであり、相対的多血症とは循環赤血球量は増加していないが、循環血漿量が減少しているため、赤血球が増加しているようにみえるものである。
真性多血症は、JAK2遺伝子の変異によって生じる遺伝子疾患で、脾腫が見られ、血液検査で白血球、血小板の増加、NAPスコア上昇を認めるのが特徴である。
二次性多血症は、何らかの基礎疾患を背景として、エリスロポエチンの過剰産生により赤血球が増加した状態である。
基礎疾患による分類
基礎疾患としては、組織の低酸素に起因するものと、エリスロポエチン産生の異常亢進という2つの病態に大きく分類できる。
組織の低酸素に起因するものとしては、高地滞在、チアノーゼを伴う先天的心疾患、慢性肺疾患、Pickwick症候群、メトヘモグロビン血症がある。
エリスロポエチン産生の異常亢進を起こす病態としては、腎疾患(腎動脈狭窄、水腎症、腎のう胞)、エリスロポエチン産生腫瘍(小脳血管芽細胞腫、腎細胞がん、肝細胞癌)がある。