チアノーゼとは・・・
チアノーゼ(ちあのーぜ、cyanosis)とは、口唇や四肢末梢などの皮膚や粘膜が青紫色になる状態のことである。チアノーゼが見られた場合は、低酸素血症もしくは末梢循環不全が考えられる。
機序
末梢動脈血中のヘモグロビンのうち、還元型ヘモグロビンが5g/dL以上になると出現する。貧血や大量出血の患者ではもともとのヘモグロビン量が少ないため、産生される還元型ヘモグロビン自体が少なくなるため、チアノーゼは出現しにくい。逆に、多血症の患者ではヘモグロビン量が多いため、軽度の酸素飽和度の低下でもチアノーゼが出現することがある。
チアノーゼを生じる病態
チアノーゼには中心性チアノーゼと末梢性チアノーゼがある。
中心性チアノーゼ
原因が心臓・呼吸器・血液にあるため、中枢の動脈血そのものの酸素飽和度が低い。チアノーゼは毛細血管が外から透けて見えやすい口唇・眼瞼結膜・爪床などを中心に認める。
1)心疾患によるチアノーゼ
・右左シャントのある(右心系の酸素飽和度の低い血液が体全体に送られる)先天性心疾患
例)ファロー四徴症、完全大血管転位症(TGA)など
2)呼吸器疾患によるチアノーゼ
重症の慢性閉塞性肺疾患(COPD)など、さまざまな呼吸器疾患が含まれる。
3)血液疾患によるチアノーゼ
メトヘモグロビン血症などの異常ヘモグロビンが産生される血液疾患が含まれる。
末梢性チアノーゼ
原因は末梢循環不全にあるため、心臓から拍出される動脈血の酸素飽和度は正常である。そのため、チアノーゼは四肢末端を中心に出現する。
末梢性チアノーゼを引き起こす病態としては、心拍出量の低下、ショック、末梢血管の閉塞(閉塞性動脈硬化症など)がある。その他には、寒冷などの刺激で末梢血管が収縮することによる四肢末端が蒼白になるレイノー現象なども広義のチアノーゼに含める場合がある。