小脳とは・・・
小脳(しょうのう)とは、運動機能の調節や、平衡・眼球運動の調節を司る、脳の部位の一部である。後頭部の下方に位置し、見た目はカリフラワーのような形状をしている。
小脳は、大脳皮質・脊髄・前庭神経系からの情報を受け、身体の各器官の運動機能を調整している。小脳が正常に機能することで、なめらかに話すことや細かい動作、姿勢を保って歩くことなどが可能になっている。
小脳は、司る役割によって以下の「前庭小脳」「脊髄小脳」「大脳小脳」の3種離に分類される。また、大脳に近い部分から下部に向かって、第一裂と呼ばれる部位を境に「前葉」「後葉」とも呼び分けられる。
前庭小脳
身体の平衡感覚と、眼球の運動を調節する役割を担う。原小脳ともいわれる。
前庭小脳が傷つくと平衡感覚を失い、身体のバランスを保てずによろめきながら歩く酩酊様歩行といった症状がでる。また、眼球が揺れ動く眼振といった症状も見られる。
脊髄小脳
体幹の運動を調節する役割を担う。旧小脳ともいわれる。
脊髄小脳が傷つくと体幹がぶれる体幹失調を起こし、姿勢を保つことができなくなる。また、前庭小脳が傷ついたときと同様に酩酊様歩行も見られる。
大脳小脳
四肢の運動機能と、言語を調節する役割を担う。新小脳ともいわれる。
大脳小脳が傷つくと、企図振戦(目標に近づけようとする手足が震える症状)や構音障害(話し方が途切れ途切れになる症状)といった症状が見られる。
四肢の運動失調や企図振戦など、小脳が障害を負うことによってあらわれる症状を総称して小脳失調(小脳性運動失調)という。小脳失調を引き起こす疾患には、脊髄小脳変性症(SCD)や多系統萎縮症(MSA)などがある。
引用参考文献
1)医療情報科学研究所編.北沢茂ほか監.病気がみえるvol.7 脳・神経.メディックメディア,2015,p501.(ISBN9784896323580)