急性胆管炎とは・・・
急性胆管炎(きゅうせいたんかんえん、acute cholangitis)とは、胆管の感染によって引き起こされる急性の炎症性疾患である。
胆管で胆汁の通過障害によって、うっ滞した胆汁中に細菌が増殖することで胆管内に感染が起こり、急性胆管炎を発症する。胆管の通過障害の原因は胆石、胆管内あるいは胆管周囲のがんやリンパ節などにより胆管が閉塞することである。また、乳頭括約筋が内視鏡的乳頭切開術(EST)などによる切開でその機能が失われると、腸管から逆行性に胆管感染を起こしやすくなる。
好発年齢は中高年以上で、胆嚢結石の既往のある人が罹患しやすい。
症状
悪寒・戦慄をともなう発熱、腹痛、黄疸、意識障害、ショックが見られる。多発性肝腫瘍を合併することもある。さらに重症化して急性閉塞性化膿性胆管炎(AOSC)に至ると、敗血症、ショック、意識障害、播種性血管内凝固(DIC)の原因になる。
検査・診断
血液検査で、白血球の増加、反応性タンパク(CRP)の高値、ビリルビンの上昇、胆道系酵素であるALP、γ-GTPの上昇が見られる。
また、腹部超音波検査や腹部CT検査で胆管の拡張、総胆管結石の有無などを確認する。
治療
治療の原則は、成因に対する治療、抗菌薬投与、胆管ドレナージである。特に中等症は速やかに、重症では緊急にERCPによって胆管ドレナージを行う必要がある。
また同時に、胆管炎の成因(結石、がん)に対する治療を行う必要がある。
引用参考文献
1)医療情報科学研究所編. 病気がみえるvol.1 消化器.第4版. メディックメディア,2010, 318p.(ISBN9784896323245)
2)“急性胆のう炎と急性胆管炎”.日本肝胆膵外科学会.
3)“内視鏡的乳頭切開術(EST)について”.相澤病院.
4)永井良三ほか監.看護学大辞典.第6版,メヂカルフレンド社,2013,2400p.(ISBN9784839214784)
5)真弓俊彦ほか.急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン2013/2018.救急医学 9月輪寺増刊号 現場で使い尽くす 診療ガイドライン選集2018,2018,1329-1331