小児への与薬の特徴
『新訂第2版 写真でわかる小児看護技術 アドバンス』(インターメディカ)より転載。一部改変。
今回は小児への与薬の特徴について解説します。
山元恵子
富山福祉短期大学看護学科長
小児への与薬の特徴
- 小児は体が小さいため、微量な薬剤量の変化にも大きな影響を受けるので注意する。
- 小児の飲みやすい剤形(散剤・シロップ・水溶剤・カプセル)を理解し、指示量は全量を確実に服用できるよう援助する。
- 小児や家族が理解できる、わかりやすい言葉で薬剤の効果や副作用について説明する。
- 与薬による治療の目的を理解し、与薬直前に手順に沿った確認を行い、実施する。
- 医師の指示に基づき、確実な投与方法を選択する。
与薬後は継続的に、注意深く観察する。 - 小児の「泣く」ことによる不安・恐怖心の表現を敏感に受け止め、苦痛や疼痛が最小限となるよう援助する。
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与薬の種類
与薬の種類は図1のように分類される。
図1 与薬の種類
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与薬の基本
発達段階に応じた方法の選択や工夫が必要
与薬の基本は図2の通り。
図2 与薬の基本
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薬理作用
小児は、薬理作用の影響を強く受ける
薬剤は、口・血液などから体内の組織や作用部位に分布する。その後、肝臓あるいは血漿中で代謝され、腎臓を介して排泄される(図3)。
小児では腎臓の排泄機能が成人の30~40%であるため、薬剤が体外に排泄されるまで、成人より長い時間を要する。このため、薬理作用の影響を強く受けることになる。
図3 薬剤の摂取から排泄まで
EVIDENCE
■乳幼児は腎臓の排泄機能に加え、胃・膵臓・腸の機能も年齢によっては未完成であり、薬理作用の影響を強く受けやすい。
■胃酸分泌:3か月までにpH安定
胃内停滞時間:6~8か月で成人と同等
膵臓機能:1歳まで分解酵素未完成
腸内細菌叢:4歳までに完成
薬用量は小児の体重や体表面積によって決定する(表1)。小児は体重当たりの体表面積が広いため、相対的に薬用量が多い。
表1 小児の薬用量の目安
*末廣豊:処方せんを出す際の注意点.チャイルドヘルス9(6),2006,p.14より
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本連載は株式会社インターメディカの提供により掲載しています。
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[出典] 『新訂第2版 写真でわかる小児看護技術 アドバンス』 監修 山元恵子/編著 佐々木祥子/2022年7月刊行/ インターメディカ