尋常性白斑(しろなまず)|色素異常⑥

『皮膚科エキスパートナーシング 改訂第2版』(南江堂)より転載。
今回は尋常性白斑について解説します。

瀧川雅浩
浜松医科大学名誉教授

 

 

Minimum Essentials

1後天的に皮膚が白くなる(白斑)疾患。いわゆる「しろなまず」。

2皮膚の一部が白くなる限局型と、全身に拡大する汎発型がある。汎発型では、悪性貧血、自己免疫性甲状腺機能異常、1型糖尿病などの合併を検索する。

3治療は光線療法、ステロイド薬外用が主体である。

4治療は長期間にわたるので、患者の精神的サポートが大切である。

 

尋常性白斑(しろなまず)とは

定義・概念

完全な色素脱失による白斑で、体の一部にのみ現れる限局型と、全身に現れる汎発型がある。後天性の疾患で、人口の約1%が罹患している。

 

原因・病態

皮膚の基底層に分布するメラノサイト(色素産生細胞)が減少・消失し、その結果、メラニン色素の減少あるいは消失が起こり皮膚の色が白く抜ける。病型により病因が異なると考えられるが、明らかでない。

 

 

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診断へのアプローチ

臨床症状・臨床所見

さまざまな大きさの境界明瞭な白斑で、周囲皮膚色は逆に褐色調に濃くなることが多い(図1)。

 

図1白斑

白斑

 

白斑部には通常自覚症状はない。10~30歳代の発症が多い。体の一部が白くなる限局型と、全身に拡大する汎発型がある。頭部白斑部では白髪が生える場合もある。

 

検査

白斑の診断に必要な検査はない。時に悪性貧血、自己免疫性甲状腺機能異常、1型糖尿病、アジソン(Addison)病などを合併するので、それらに対する検査が必要となることがある。

 

顔面を中心に白斑が出現するフォークト(Vogt)・小柳・原田病が疑われる場合は、眼底検査や聴力テストを行う。

 

 

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治療ならびに看護の役割

治療

光線療法、ステロイド外用剤、あるいは両者の併用が第一選択となる。合併症がある場合は、その治療を積極的に行う。

 

おもな治療法

光線療法

全身照射型のナローバンドUVB療法が第一選択となる。白斑部が薄い紅色になる照射量が色素再生に有効であるが、皮膚の色の薄い患者では熱傷に注意する。週1~3回の照射で、治療期間の目安は3~9ヵ月とする。

また、エキシマレーザー / ライト療法では、ピーク波長である308nmが色素再生にもっとも優れているとされ、限局性の白斑には試みる価値が高い。

 

ステロイド療法

①外用療法
体表面積の10~20%以下の白斑においては第一選択となる。皮膚萎縮などの長期ステロイド薬外用の副作用に注意しながら、4~6ヵ月を目途に治療を進める。外用開始2ヵ月間までに効果がみられないときは、ほかの治療法に変更する。

 

②全身療法
白斑が急速に拡大する場合、ステロイド薬の全身投与を考える。

 

その他の外用療法
活性型ビタミンD3製剤、タクロリムスなどの有効性も報告されている。

 

外科的治療
病勢が進行せずまた治療に反応しない場合、吸引水疱蓋法などによる自家正常表皮の移植が行われる。

 

カモフラージュ療法
白斑専用のカモフラージュ化粧品を用いたメイクにより、整容的に改善する。

 

合併症とその治療

悪性貧血、自己免疫性甲状腺機能異常、1型糖尿病などの合併が疑われるときは、それに対する検査を行う。

 

治療経過・期間の見通しと予後

治療が長期にわたる場合が多い。

 

 

看護の役割

精神的なサポート

外見ではっきりとわかってしまうため、精神的なサポートが必要になる。 顔面、手背などの露出部に白斑がある患者ではQOLが大きく障害されるため、カモフラージュメイクを勧める。

 

治療の継続

治療が長期にわたる場合が多く、患者が根負けしてしまうケースが散見される。整容的改善が目的であることを説明し、根気良く治療を継続するようサポートする。

 

 

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本連載は株式会社南江堂の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『皮膚科エキスパートナーシング 改訂第2版』 編集/瀧川雅浩ほか/2018年4月刊行/ 南江堂

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