心不全慢性期の看護

『本当に大切なことが1冊でわかる循環器』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は心不全慢性期の看護について解説します。

 

中嶋ひとみ
集中ケア認定看護師
新東京病院看護部

 

 

 

〈目次〉

 

 

一般病棟での看護

心不全は常に増悪のリスクがあるため、症状が落ち着き、急性期を脱した後も、バイタルサインや症状・病態の変化を継続して観察します。特に、体重増加、尿量減少、呼吸困難の訴えのあるときはすぐに医師へ報告し、症状の軽減に努めます。徐々に病状が進行する疾患のため、長期的視点での介入が必要です。

 

退院支援

今までの介入(情報収集、患者さんとの関係構築)を経て、いよいよ退院へ向けて本格的に介入を行います。

 

継続して体重・血圧測定を行います。セルフモニタリングの習慣づけと外来受診時に自宅での状態を医療者へ伝える目的で心不全手帳を渡します。

 

退院指導(表1)は患者さん本人だけでなく、日常生活をサポートする家族(配偶者、子どもなど)とともに行います。

 

表1心不全の退院指導内容

心不全の退院指導内容

 

経過の長い慢性心不全患者さんは、自覚症状に乏しい場合があります。頻脈不整脈に慣れていることもあるため、患者さんの「だいじょうぶ」「いつもと変わりない」という言葉と身体所見が一致しているか注意が必要です

 

入院中に、セルフモニタリング・セルフケア能力の向上を図りましょう。そのために、まず看護師は、入院に至った要因(日常生活状況、通院状況、キーパーソンは誰かなど)を、患者さんや家族から話を聞いたり、記録から情報収集しながらアセスメントします。そのうえで表2のポイントを実施しましょう。

 

表2セルフケア能力を向上させるためのポイント

セルフケア能力を向上させるためのポイント

 

 

 

心不全慢性期の看護の経過

心不全慢性期の看護をみていきましょう(表3-3)。
心不全の看護の経過の一覧表はこちら

 

表3-3心不全慢性期の看護の経過 一般病棟・自宅療養(外来)に向けて

心不全慢性期の看護の経過 一般病棟・自宅療養(外来)に向けて

 

表3心不全の看護の経過 一覧

 

横にスクロールしてご覧ください。

 

心不全の看護の経過 一覧

 


文献

  • 1)Yancy CW, Jessup M, Bozkurt B, et al. 2013 ACCF/AHA guideline for the management of heart failure:a report of the American College of Cardiology Foundation/American Heart Association Task Force on practice guidelines. Circulation 2013;128:e240-e327.
  • 2)Ponikowski P, Voors AA, Anker SD, et al. Authors/Task Force Mem-bers. 2016 ESC Guidelines for the diagnosis and treatment of acute and chronic heart failure:The Task Force for the diagnosis and treat-ment of acute and chronic heart failure of the European Society of Cardiology( ESC). Developed with the special contribution of the Heart Failure Association(HFA) of the ESC. Eur J Heart Fail 2016;18:891-975.
  • 3)日本循環器学会:急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版).(2019.09.01アクセス)
  • 4)日本循環器学会:心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(2012年改訂版).(2019.09.01アクセス)
  • 5)日本循環器学会:循環器疾患における末期医療に関する提言(2010年).(2019.09.01アクセス)
  • 6)2013 ACCF/AHA Guideline for the Management of Heart Failure:Executive Summary.(2019.09.01アクセス)
  • 7)加藤真帆人:心不全とはなんだろう?~慢性心不全という新しい概念とその管理~.日大医誌 2015;74(4):153-160.(2019.09.01アクセス)
  • 8)市田聡:ハート先生の心不全講座 改訂第三版.医学同人社,東京,2018.
  • 9)堀正二監修,坂田泰史編:図解 循環器用語ハンドブック 第3版.メディカルレビュー社,大阪,2015.10. 葛谷恒彦,堀正二:主な循環器疾患の診断・管理治療. 標準循環器病学 第4版,小川聡,井上博編,医学書院,東京,2007.
  • 10)葛谷恒彦,堀正二:主な循環器疾患の診断・管理治療. 標準循環器病学 第4版,小川聡,井上博編,医学書院,東京,2007.
  • 11)長谷部直幸,菊池健次郎:本態性高血圧症.小川聡,井上博編,標準循環器病学 第4版.医学書院,東京,2007:335-341.
  • 12)岡田隆夫:循環系の調節.小澤瀞司,福田康一郎監修,本間研一,大森治紀,大橋俊夫 他 編:標準生理学 第8版.医学書院,東京,2014:630-631.
  • 13)厚生労働省:第4回心血管疾患に係るワーキンググループ 資料2 心血管疾患の医療提供体制のイメージ.(2019.09.01アクセス)
  • 14)小田切菜穂子:慢性心不全患者の特徴と療養上の課題.循環器ナーシング 2014;4(10):6-15.
  • 15)宮下光令,柴信行,下川宏明:循環期看護の最前線を知る 第9回 末期心不全の緩和ケアを考える.HEART 2012;2(5):501-511.
  • 16)日本集中治療医学会看護テキスト作成ワーキンググループ編:集中治療看護師のための臨床実践テキスト 疾患・病態編.真興交易医書出版部,東京,2018.
  • 17)JSEPTIC看護部会監修,卯野木健,森安恵実編:ICUナースポケットブック 第3版.学研メディカル秀潤社,東京,2016:29.

 


本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 循環器 第2版』 編集/新東京病院看護部/2020年2月刊行/ 照林社

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