末期心不全の看護

『本当に大切なことが1冊でわかる循環器』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は末期心不全の看護について解説します。

中嶋ひとみ
集中ケア認定看護師
新東京病院看護部

 

末期心不全の看護のポイント

心不全のような慢性疾患では、最大限の薬物治療を行っても入退院を繰り返す状態の場合(治療抵抗期)、予後に関する見通しや終末期について説明し、今後の治療について意思確認が必要となります。日ごろから患者さん・家族と向き合い、信頼関係を築くことが大切です。

末期心不全の治療方針は次のとおりです(看護のポイントは表1)。
①苦痛の緩解とQOLの向上に努める。
②治療可能な範囲を的確に評価し介入する。
③薬物療法以外に、機械的補助療法が適応となりうる(血液浄化療法、CRT・ICD)。
心臓移植を考慮する(移植へのブリッジ療法としての補助人工心臓〈VAS〉、移植を前提としないDestination療法としてのVASを検討)。
⑤積極的治療と緩和療法のバランスを考慮する。
⑥死亡後の家族に対するケアを行う。

 

終末期へ移行した患者さんの看護は、治療方針をもとに患者さん・家族へのケアを行います。

 

表1末期心不全の看護のポイント

末期心不全の看護のポイント

※1 スピリチュアルペイン
末期心不全の患者さんは、罪悪感や死への恐怖などのスピリチュアルペインを抱えていることが少なくない。
【スピリチュアルペインの要因】
・死を迎えようとすること
・身体機能の低下がもたらす自律性の低下
・生きる目的の喪失
・孤独
・セルフイメージの低下

看護ケアの介入は、十分に患者さん・家族の話を傾聴し、その患者さん・家族の希望に沿った看護ケアを導き出すことが必要とされます

 


文献


本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

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[出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 循環器 第2版』 編集/新東京病院看護部/2020年2月刊行/ 照林社

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