心房細動(AF)/心房粗動(AFL)
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『本当に大切なことが1冊でわかる循環器』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は心房細動(AF)と心房粗動(AFL)について解説します。
渡辺朋美
新東京病院看護部
〈目次〉
心房細動(AF)/心房粗動(AFL)はどんな疾患?
心房細動(AF)
心房細動(atrial fibrillation;AF)とは、心房の各部分の無秩序な電気的興奮により、心房の細かな興奮が心室へ不規則に伝導するため、心室のリズムも不規則になる不整脈です。
心房細動があると、心耳など心房内に血栓を形成しやすく、脳など全身に塞栓症を起こすこともあります。
心房粗動(AFL)
心房細動と似たような病名に心房粗動(atrial flutter;AFL)があります。どちらも心房の運動が活発になっている状態ですが、両者には明確な違いがあります。
心房細動では、心房と心室が不規則に活動していますが、心房粗動では、規則的に活動をします(図1)。
図1心房細動と心房粗動の心電図波形
両者の治療方法は類似していますが、脳梗塞の発生リスクや動悸などの症状は心房細動でより多くみられる傾向にあります。
患者さんはどんな状態?
動悸や心拍不整がみられます。
どんな治療を行う?
頻拍のため、血行動態が悪化している場合は、電気的除細動を行って洞調律に回復させます。この場合は、心内に血栓がないか事前に経食道心エコーで確認する必要があります。
血行動態が安定している場合は、心拍をコントロールするためにカルシウム拮抗薬、β遮断薬、ジギタリスを投与します。
塞栓症の予防のために、抗凝固療法を行います。
薬物治療で不整脈が停止しない場合は、高周波カテーテルアブレーションを検討します。カテーテル治療は、すべての心房細動に有効なわけではないので、一度心房細動が治まっても、再発して2度、3度と治療が必要となる場合もあります。
心臓弁膜症と合併して開胸手術が必要な場合は、メイズ手術という、高周波電流で電気的な隔離線を引き、心房細動を治療する方法もあります。
心房細動が停止し、洞調律に戻る際に長い心停止を起こす危険性もあるので注意が必要です。
文献
- 1)百村伸一編:心臓病の治療と看護 (NURSING̶Cure and Care Series).南江堂,東京,2006.
- 2)医療情報科学研究所編:year note 2019.メディックメディア,東京,2018.
- 3)大八木秀和:まるごと図解 循環器疾患.照林社,東京,2013.
本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。
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[出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 循環器 第2版』 編集/新東京病院看護部/2020年2月刊行/ 照林社