遺伝によって受け継がれる病気はあるの?

『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は遺伝で受け継がれる病気について解説します。

 

山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長

 

遺伝によって受け継がれる病気はあるの?

遺伝で受け継がれる病気の代表は血友病(けつゆびょう)です。母親が2本もっているX染色体のどちらかに血友病の遺伝子があると、それを受け継いだ男性に血友病が発症し、女性は保因者になります。このように遺伝子が性染色体上にある遺伝の型を伴性(ばんせい)遺伝といい、血友病のようにそれが劣性の場合を伴性劣性遺伝といいます。

 

単一遺伝子により起こる遺伝病とは異なりますが、病気の発症に複数の遺伝子がかかわっていることを遺伝素因といいます。遺伝子上の塩基配列のわずかな違い、あるいは塩基配列の変化により、正常な機能のタンパク質がつくられなかったり、本来ならつくられないタンパク質がつくられると、それが引き金になって発症します。遺伝素因は一般的には体質といいます。

 

多くの生活習慣病は、こうした遺伝素因に環境要因(食事、飲酒、喫煙運動、睡眠、ストレスなどの生活習慣による影響)が加わって発症します。

 

MEMO血友病

血液中にある血液凝固因子のタンパク質の一部が不足しているため、出血すると血が止まりにくくなる出血傾向がみられます。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック 第2版』 (監修)山田幸宏/2023年8月刊行/ サイオ出版

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