禁制型ストーマってなに?

ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95』より転載。
今回は、禁制型ストーマについて解説します。

 

禁制型ストーマってなに?

 

禁制とは,排泄では漏れない状況を指します.消化管では,コック式回腸ストーマがあります.尿路ストーマではコックパウチ,マインツパウチ,インディアナパウチがあります.いずれの手術もストーマ装具の使用は不要となります.

 

解説

禁制(制御性)とは,ストーマリハビリテーション学用語集1)によると,「造設排泄口から大小便の漏れがない状態」と定義されています.集便(尿)器の使用を必要とせず,ボディーイメージの保持にも非常に有効です.

 

消化管では,コック式回腸ストーマがあります.便の貯留囊と,ニップルバルブにより失禁防止と逆流防止機能を有し,排便はストーマよりカテーテルを挿入し行います.しかし手術操作が煩雑なためあまり行われていません.

 

尿路ストーマでは自己導尿型代用膀胱造設術(コックパウチ,マインツパウチ,インディアナパウチなど)があります(図1).

 

図1自己導尿型代用膀胱(コックパウチ)

自己導尿型代用膀胱(コックパウチ)

 

尿を貯留させる必要があるので,人工膀胱(パウチ)造設を必要とし,人工膀胱から尿管への逆流防止や人工膀胱から体外への尿失禁を防止するために腸重積を形成し導尿瘻を造設します.この場合,間欠的導尿が必要となります.

 

【知っておこう】代用膀胱

代用膀胱には,導尿型代用膀胱と自排尿型代用膀胱があります.自排尿型代用膀胱造設術(ハウトマン法,スチューダー法など.図2)は,新膀胱造設術といわれることもあります.

 

図2自排尿型代用膀胱

自排尿型代用膀胱

 

腸管を用いた人工膀胱と括約筋を温存した尿道に吻合し,自己排尿が行えるようにする術式です.

 

ストーマを必要とせず尿路変向術の中では最も自然の膀胱に近いのですが,尿道へのがん再発,尿の再吸収の問題,尿失禁,尿意がないため排尿の自己管理が必要など,自然の膀胱に及ばない点も多いのが現状です.

 


[参考文献]

 

  • 1)日本ストーマリハビリテーション学会編.ストーマリハビリテーション学用語集.第2 版.金原出版,2003.
  • 2)西沢理監.泌尿器Nursing Note.改訂2 版.メディカ出版,2010,47─8.
  • 3)ストーマリハビリテーション講習会実行委員会編.ストーマリハビリテーション実践と理論.金原出版,2006.
  • 4)塚田邦夫ほか編.ストーマ手術アトラス.へるす出版,2002.
  • 5)伊藤美智子編.ストーマケア.学習研究社,2003,(Nursing Mook, 15).
  • 6)日本ET/WOC協会編.ストーマケア エキスパートの実践と技術.照林社,2007.
  • 7)原田俊子編.実践 尿路ストーマケア.ウロナーシング冬季増刊.メディカ出版,2000.

 


[Profile]
末平 智子 すえひら・ともこ
関西医科大学附属枚方病院看護部看護師長/皮膚・排泄ケア認定看護師

 

*所属は掲載時のものです。

 


本記事は株式会社メディカ出版の提供により掲載しています。

 

[出典]『ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95 病棟での困りごとがこれで解決!』(編著)菅井亜由美/2013年4月刊行

 

ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95 病棟での困りごとがこれで解決!

 

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