尿路ストーマに挿入されるカテーテルは必要なの?
『ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95』より転載。
今回は、尿路ストーマに挿入されるカテーテルの目的について解説します。
尿路ストーマに挿入されるカテーテルは必要なの?
尿路ストーマに術後挿入されるカテーテルの目的は,縫合不全や,狭窄といった術後合併症を予防するために留置されます.
回腸導管や尿管皮膚瘻は,術後2~3週間で抜去されることが多いです.腎瘻,膀胱瘻には,カテーテルが留置されます(図1).
図1カテーテルの種類(文献2より引用改変)
a.尿管ステント(ピッグテールカテーテル)
・ダブルJカテーテル
・シングルJカテーテル
b.腎盂バルーンカテーテル
c.尿道カテーテル
・バルーン(フォーリー)カテーテル
解説
回腸導管の場合には,回腸と尿管の吻合部の縫合不全や狭窄の予防にカテーテルを留置します.ストーマ粘膜壊死や狭窄がないことを確認のうえ,造影検査後,術後2~3週間で抜去されます.
尿管皮膚瘻の場合にも,術直後にはカテーテルが留置されます.
最近では尿管を一側にまとめてストーマを造設します.尿管を腹壁に引き出し固定されるため,この部分での縫合不全や狭窄の予防のためにカテーテルが留置されます.回腸導管と同様に術後約2週間で抜去されますが,尿管の走行や狭窄の状況によってステント留置が必要な場合もあります.この場合にはピッグテールカテーテル(ダブル・シングル)を定期的に交換します.
腎瘻は,腎盂に挿入されます.腎盂には蓄尿機能がないため,ピッグテールカテーテル(一時的)もしくは腎盂バルーンカテーテル(長期的)が留置され,定期交換が必要です.
膀胱瘻は,膀胱,尿道が使えない場合に造設されます.蓄尿機能が低下している場合に造設されることが多いため,フォーリーカテーテルが留置されることが多いです.膀胱の蓄尿機能が維持されている場合には,カテーテルをクランプして管理することも可能です.
[参考文献]
- 1)日本ストーマリハビリテーション学会編.ストーマリハビリテーション学用語集.第2 版.金原出版,2003.
- 2)西沢理監.泌尿器Nursing Note.改訂2 版.メディカ出版,2010,47─8.
- 3)ストーマリハビリテーション講習会実行委員会編.ストーマリハビリテーション実践と理論.金原出版,2006.
- 4)塚田邦夫ほか編.ストーマ手術アトラス.へるす出版,2002.
- 5)伊藤美智子編.ストーマケア.学習研究社,2003,(Nursing Mook, 15).
- 6)日本ET/WOC協会編.ストーマケア エキスパートの実践と技術.照林社,2007.
- 7)原田俊子編.実践 尿路ストーマケア.ウロナーシング冬季増刊.メディカ出版,2000.
[Profile]
末平 智子 すえひら・ともこ
関西医科大学附属枚方病院看護部看護師長/皮膚・排泄ケア認定看護師
*所属は掲載時のものです。
本記事は株式会社メディカ出版の提供により掲載しています。
[出典]『ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95 病棟での困りごとがこれで解決!』(編著)菅井亜由美/2013年4月刊行