注入速度がある程度決まっているのはなぜ?|点滴静脈内注射
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『看護技術のなぜ?ガイドブック』より転載。
今回は注入速度に関するQ&Aです。
大川美千代
群馬県立県民健康科学大学看護学部准教授
注入速度がある程度決まっているのはなぜ?
注入速度の目安が決められているのは、副作用を起こさず安全に輸液療法を行うためです。
通常、成人の場合は、約2mL/kg/時間が心臓に負担をかけない基本値とされています。しかし、これはあくまでも基本値です。例えば、出血性ショックなどで循環血液量が減少している場合は急速に注入するというように、症例によって注入速度を変える必要があります。
注入速度が速すぎると、尿量の増加、動悸などが起こり、呼吸・循環器への負荷が進むと呼吸困難、浮腫、血圧低下などの心不全症状をひき起こす場合もあります。反対に注入速度が遅すぎると、必要量に達するまで口渇(こうかつ)、尿量の減少、発熱、意識レベルの低下といった脱水症状を起こすこともあります。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護技術のなぜ?ガイドブック』 (監修)大川美千代/2016年3月刊行/ サイオ出版