出血はどのようにして止まるの?
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は血小板について説明します。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
出血はどのようにして止まるの?
血管を傷つけてしまった時、いち早く止血に係わるのが血小板です。血小板は2〜3μmの小さな細胞で、1mm3あたり約30万個存在します。血小板がどのように止血するのか、その仕組みをみてみましょう(図1)。
血管壁が損傷すると、血小板が膠原線維(こうげんせんい、コラーゲン)に触れて活性化した状態に変化します。そして、傷ついた血管壁の部分に血小板が集まります。これを血小板粘着(ねんちゃく)といいます。さらに、血小板が互いに接着して塊(かい、血栓)になります。これを血小板凝集(ぎょうしゅう)といいます。
傷口の上には血小板が次々と積み重なっていきます。凝集した血小板からはセロトニンが放出され、出血を最小限にとどめるために血管を収縮させます。この段階で、ひとまず血管壁の傷口はふさがります。この応急処置を一次止血といいます。
応急処置のままでは、血流の圧力によって傷口は再び開いてしまう危険があります。そこで、止血の第2段階である二次止血がスタートします。
血小板や破壊された組織からは組織因子が放出され、トロンボプラスチンは血液凝固因子であるプロトロンビンを活性化し、トロンビンに変えます。トロンビンは血漿の中に存在している可溶性のフィブリノゲンを、不溶性のフィブリンに変化させます。すなわち、それまで水に溶けていたものを、水に溶けない物質に変化させるのです。
フィブリンは細長い線維状の分子で、たくさん集まることで網目構造を作ります。この網目に赤血球が引っかかって塊(凝血塊)ができ、それが傷口を覆うと二次止血が完了します。
血液が固まって二次止血が終わるまでに要する時間は、2〜6分程度です。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版