体温測定時、上腕を密着させ、10分間測定するのはなぜ?
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『看護技術のなぜ?ガイドブック』より転載。
今回は「体温測定の方法(腋窩)」に関するQ&Aです。
大川美千代
群馬県立県民健康科学大学看護学部准教授
体温測定時、上腕を密着させ、10分間測定するのはなぜ?
体温計を挿入後、腋窩が一定の温度になるには5分程度かかるとされています。正確な体温を知るためには、1分計でも3分計でも10分は入れておくようにします。
腋窩をあらかじめ閉じていた場合、あるいは布団に寝ていて室温も低くないような場合は、腋窩の温度も保たれているため、5~6分で最高値になるとされていますが、やはり正確を期すためには10分間の測定が望ましいといえます。
老人は皮膚が硬化して熱伝導が不良であったり、腋窩の密着度が悪いこともあるため、場合によっては15分以上測定したほうがよいこともあります。
表1体温計挿入後の腋窩の温度変化
MEMO高齢者の体温
体温は年齢によっても変化します。高齢者は皮膚の熱伝導が低くなり、基礎代謝や筋肉運動も低下するため、一般的に皮膚温が下がってきます。ただし、厳密な意味での体温(体内温度)は、加齢による影響を受けにくいので、測定時間を延ばすことでより正確な体温を測定することが可能になります。
【One Point】小児の体温測定
正確に体温を測定するには、腋窩であれば10分は必要ですが、小児は同一体位を持続できない場合も多いものです。このような場合は、耳孔(鼓膜)で行うと短時間で容易に測定できます。外耳道に耳式体温計を差し入れて測定します。
新生児や乳児は、環境による体温変化が大きくなりがちです。正確に体温管理を行う必要がある場合は、より深部温に近い直腸で測定を行います。それほど慎重な体温管理が必要でない新生児は、頭部をやや傾けるようにして首のシワに体温計を密着させるようにして測定する場合もあります。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護技術のなぜ?ガイドブック』 (監修)大川美千代/2016年3月刊行/ サイオ出版