黄疸はどのようにして起きるの?
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は黄疸に関するQ&Aです。
[前回]
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
黄疸(おうだん)はどのようにして起きるの?
寿命がきた赤血球や不要になった赤血球は脾臓で壊され、中のヘモグロビンはヘムとグロビンに分解されます。ヘムは門脈を通って肝臓へと送られますが、このとき、肝細胞に取り込まれるとビリルビンに変換され、その後グルクロン酸抱合を受けて直接(抱合型)ビリルビンになります。
他方、肝臓内の細網内皮系細胞に取り込まれたヘムは、ビリルビンに変換されますが、グルクロン酸抱合を受けることなく血中に放出され、血中でアルブミンと結合して間接(遊離型)ビリルビンになります。
尿中に排泄されるのは直接ビリルビンで、間接ビリルビンは尿中には排泄されません。また、ビリルビンが腸内細菌により還元されるとウロビリノゲンになり、このウロビリノゲンが尿中でさらに酸化されると尿の黄色の成分であるウロビリンになります。
黄疸は、何らかの原因で血液中のビリルビン(胆汁色素)が増えた状態です。この状態を高ビリルビン血症といいます。黄疸は成因により、次の3つの型に分類されています。
第1の型は黄疸の原因がビリルビン生成前にある場合で、溶血性貧血による黄疸や新生児の生理的黄疸などです。ヘムが大量に出すぎたために起こり、間接ビリルビンが増加します。これを肝前性黄疸といいます。
第2の型は肝炎や胆細管炎など、ビリルビン生成場所の障害が原因で起きる場合で、血中には直接ビリルビンと間接ビリルビンの両方が増加します。これを肝性黄疸といいます。
第3の型は黄疸の原因がビリルビン生成後にある場合です。肝臓癌や胆管結石などで胆管が閉塞すると、本来は胆汁として利用されるべきものが血中に流入し、黄疸が生じます。これを肝後性黄疸といい、直接ビリルビンが増加します。
血中ビリルビン値が1.0~2.0mg/dLの場合は潜在性黄疸といわれ、症状が出ることはまれです。血中ビリルビン値が2.0mg/dL以上になると、皮膚や粘膜、とくに眼球結膜(白目)が黄染して強い瘙痒感を感じます。これを顕性黄疸といいます。
黄疸はさまざまな疾患の症状として現れるので、基礎疾患の治療が必要です。また、瘙痒感へのケアも重要になります。
※編集部注※
当記事は、2017年1月5日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。
[次回]
⇒〔解剖生理Q&A一覧〕を見る
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版