腎機能が低下するとどうなるの?

『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。

今回は「腎機能の低下」に関するQ&Aです。

 

[前回]

腎機能の状態は何を見れば分かるの?

 

山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長

 

腎機能が低下するとどうなるの?

腎機能が低下すると、慢性腎臓病では排泄ばかりでなく、全身に影響が及びます。

 

腎臓の濾過機能を担っている糸球体に障害が起きると、次第に血液中に老廃物がたまります。しかし、腎機能が低下しても当初は自覚症状が現れません。障害が進行するにつれてさまざまな症状が現れ、最終的には腎不全の状態になります。

 

腎不全に至る過程を4段階に分けたものがセルジンの分類です。

 

糸球体の半分近くに障害が及んだ状態を、第1期・腎予備力減少期といいます。腎臓は予備力のある臓器ですが、糸球体の半分近くが障害されると、予備力も低下し始めます。

 

糸球体の障害が進むと第2期・腎機能低下期の状態になります。血液中の老廃物を濾過しきれなくなり、血液中に窒素が多くなります。尿の濃縮力も低下するため、夜間多尿(やかんたにょう)が現れます。また、脱水貧血なども生じます。

 

腎機能がさらに低下してCCrが30mL/分以下になると、第3期・非代償期の状態になります。尿の濃縮力が失われて多尿になり、高窒素血症貧血代謝性アシドーシス高リン血症カルシウム血症などが現れます。

 

さらに進行し、CCrが10mL/分以下になった段階を第4期・尿毒症といいます。尿毒症になると、体内の内部環境の維持ができなくなり、eGFRが15mL/分/1.73m2未満の場合血液透析が必要になります。

 

MEMO腎不全(じんふぜん)

腎不全は腎臓が本来の機能を果たせなくなった病態です。急激に腎機能が悪化する急性腎不全と、慢性的に現れる慢性腎不全があります。

MEMO血液透析

機能しなくなった腎臓に代わって血液を濾過し、老廃物や不要物を取り除く療法。透析膜を介して血液と透析液を触れ合わせ、拡散と限外濾過(機械的に圧をかけて行う濾過)によって血液を浄化します。

 

※編集部注※

当記事は、2016年11月17日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。

 

[次回]

加齢と腎機能は関係があるの?

 

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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版

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