腎機能の状態は何を見れば分かるの?
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は「腎機能を評価する指標、クリアランス」に関するQ&Aです。
[前回]
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
腎機能の状態は何を見れば分かるの?
腎臓の排泄機能を表したものがクリアランスです。
クリアランスは血液中に含まれている特定の物質が、単位時間(1分間)当たりに完全に清掃された(濾過された)と想定される血漿量によって表します。
クレアチニンやイヌリンという物質は、尿細管での再吸収も分泌も全く行われません。これらの物質の、クリアランス値が100mL/分ということは、1分間に、100mLの血漿からこれらの物質が完全に漉し取られたということを表します。すなわち、腎臓にそれだけの濾過機能があるということを表しています。この濾過機能を糸球体濾過量といいます。
腎機能を評価するうえで重要なのは、クレアチニンクリアランス(CCr)です。
クレアチニンは老廃物の一種で、糸球体の機能を正確に反映する物質の代表格です。そのため、腎機能の評価にはCCrが用られています。
CCrの基準値は70~130mL/分です。糸球体の機能が低下すると糸球体での濾過量が減少し、CCr値は低くなります。クレアチニン値を用いて推算糸球体濾過量(eGFR)が算定されます。eGFRが60mL/分/1.73m2未満の場合は慢性腎臓病(CKD)の疑いがあります。
※編集部注※
当記事は、2016年11月14日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。
[次回]
⇒〔解剖生理Q&A一覧〕を見る
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック 第2版』 (監修)山田幸宏/2023年8月刊行/ サイオ出版