腎臓で生成された尿は、 どのような経路で排出されるの?
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は「尿の排出経路」に関するQ&Aです。
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山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
腎臓で生成された尿は、どのような経路で排出されるの?
漏斗状の腎盂にためられた尿は、左右1対ある、直径が4~7mmの細い尿管に送られます。尿は、尿管壁が蠕動(ぜんどう)することで、膀胱に向けてしごかれるように移動します。蠕動の頻度は1分間に3~4回で、速度は2~3cm/秒です。尿の生成が多くなると、蠕動運動も盛んになります。
尿管は膀胱壁を斜めに貫くようにして膀胱につながっており、つなぎ目は一種の弁のような構造になっています。膀胱に尿がたまると尿管の壁が圧縮されるようにして閉じられ、尿が尿管に逆流するのを防ぎます。膀胱は3層構造の平滑筋から構成されており、膀胱が収縮すると尿道を通過して排尿されます。
尿の移動中に腎臓や尿管、膀胱などの尿路に結石ができることがあります。これらを尿路結石(にょうろけっせき)といいます。
MEMO尿路結石
結石がある部位により、腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石などに分けられます。結石はカルシウム化合物の結晶からつくられることが多く、痛みや血尿が現れます。
MEMO血尿
尿に赤血球が混じっている状態。目で見ただけでわかる肉眼的血尿と、潜血反応検査や顕微鏡で調べて初めてわかる顕微鏡的(微小)血尿の2種類があります。血尿は腎臓からの尿路のどこかで出血が起きていることを示します。
※編集部注※
当記事は、2016年12月1日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版