逆立ちしても胃の内容物が逆流しないのはなぜ?

『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。

 

[前回]

胃はどれくらいの容量があるの?

 

今回は「胃から食道に逆流しない仕組み」に関するQ&Aです。

 

山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長

 

逆立ちしても胃の内容物が逆流しないのはなぜ?

食道の境目を噴門(ふんもん)といいます(図1)。通常、噴門は噴門括約(かつやく)筋によって閉じられていますので、食事直後に逆立ちをしても、胃の内容物が食道に逆流することはありません。

 

図1胃の構造(再掲)

胃の構造

 

噴門の収縮・弛緩を制御しているのは自律神経です。交感神経が優位な状態では噴門は収縮し、副交感神経が優位な状態では弛緩します。食物を嚥下するときに噴門が開くのは、食塊による圧迫刺激があるためです。

 

ときとして胃の内容物が食道に逆流することがあり、このとき、胸やけが生じます。胸やけの詳しい機序は「胸やけが起こる機序」を参照してください。

 

MEMO悪心

悪心(おしん)は嘔吐しそうな不快感を指します。さまざまな感覚刺激が嘔吐中枢を刺激し、唾液分泌の亢進、冷汗、脈拍の増減、低血圧などの自律神経症状も現れます。

MEMO嘔吐

嘔吐は胃の内容物が食道を通って口から吐き出される現象です。本来は、胃に入った有害物を小腸に送り込まないための反応です。

 

※編集部注※

当記事は、2016年8月25日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。

 

[次回]

胃液はどのような刺激で分泌されるの?

 

⇒〔解剖生理Q&A一覧〕を見る

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版

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