胃液はどのような刺激で分泌されるの?
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
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今回は「胃液の分泌」に関するQ&Aです。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
胃液はどのような刺激で分泌されるの?
胃液の分泌は脳相、胃相、腸相の3相に分けられます。胃液の分泌を制御しているのは、神経とホルモンです。
おいしそうな食べ物を目の前にすると、視覚、味覚、嗅覚などが刺激されます。その刺激が副交感神経に伝わり、反射的に胃液が分泌されます。この反応は過去の条件付けによるもので、脳相(のうそう)といいます。
食物が胃の中に入って粘膜が機械的に刺激されることも、胃液を分泌させる要因の1つです。また、食物によって胃内のpHが上昇すると、ガストリンという局所ホルモンが分泌され、この刺激によって胃液の分泌が促されます。これを胃相(いそう)といいます。
胃の内容物が十二指腸に移ると、十二指腸からのガストリン分泌が促され、胃液の分泌が刺激されます。これを腸相(ちょうそう)といいます。
胃液の分泌を抑制する働きがあるのは交感神経です。食物が胃から十二指腸に移動すると、エンテロガストロンというホルモンが分泌され、胃液の分泌を抑制します。また、心配事、悲しみなどの精神的な打撃によっても胃液の分泌は抑制されます。
※編集部注※
当記事は、2016年8月29日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版