副腎髄質ホルモン|内分泌
看護師のための生理学の解説書『図解ワンポイント生理学』より。
今回は、副腎髄質ホルモンについて解説します。
内田勝雄
山形県立保健医療大学名誉教授
〈目次〉
Summary
- 1. 副腎髄質ホルモンには、アドレナリン、ノルアドレナリンおよびドーパミンがある。
- 2. アドレナリン(ノルアドレナリン)の受容体は、β、α1およびα2受容体に分類される。
- 3. アドレナリンの主要な作用は心収縮力の増大、ノルアドレナリンの主要な作用は細動脈の収縮である。
副腎髄質ホルモンはカテコールアミン〔 catecholamine 〕
副腎髄質ホルモンには、アドレナリン(adrenaline)、ノルアドレナリン(noradrenaline)、ドーパミン (dopamine)があり、これらを総称してカテコールアミンという(「ホルモンの化学構造による分類」参照)。
副腎髄質から分泌されるホルモンの約80%はアドレナリンで、残りの大部分がノルアドレナリンである。ノルアドレナリンをアドレナリンに変換する酵素(phenylethanolamine N-methyltransferase)は副腎髄質に含まれ、副腎皮質ホルモン(糖質コルチコイド)によって活性化される。
アドレナリンとノルアドレナリンの作用は似ているが違いもある。アドレナリンは、主に心臓に作用し心収縮力を増大させる。ノルアドレナリンは、主に血管平滑筋に作用し細動脈を収縮させる。いずれも血圧を上昇させる(表1)。
表1アドレナリンとノルアドレナリンの循環調節反応の比較
血中のドーパミンの作用は明確でない。副腎髄質ホルモンは仮に分泌が止まったとしても交感神経末端からノルアドレナリンが分泌される(アドレナリンは分泌されない)ので死に至ることはない。
アドレナリン受容体は、連携するGタンパク質により、β受容体、α1受容体およびα2受容体に分類される(表2)。
表2アドレナリン受容体のサブタイプ
カテコールアミンの生合成(図1)
図1カテコールアミンの生合成
アミノ酸のチロシン tyrosine が tyrosine 3 -monooxygenase で酸化されると L-ドーパ(L-dopa 〔3,4-dihydroxyphenylalanine〕)になる。
L-ドーパが aromatic-L-amino-acid decarboxylase で脱炭酸化されるとドーパミン(3 -hydroxytyramine)になる。
さらにドーパミンが dopamine β -monooxygenase で酸化されるとノルアドレナリンになる。
phenylethanolamine N-methyltransferase でノルアドレナリンにメチル基が導入されるとアドレナリンになる。
アドレナリンとエピネフリンは同じもの
ラテン語でadは副、renは腎臓を意味するので、adrenalineは副腎のホルモンの意味になる。
同様にギリシャ語でepiは副、nephrは腎臓を意味するので、エピネフリン(epinephrine)はアドレナリンの別名である。
アドレナリンの命名は高峰譲吉、エピネフリンの命名は米国のエーベル(J.J.Abel)で、アメリカではエピネフリンが使われている(「ホルモンの発見」参照)。
※編集部注※
当記事は、2017年2月17日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『図解ワンポイント 生理学 第2版』 (著者)片野由美、内田勝雄/2024年7月刊行/ サイオ出版