超音波検査(心臓)|循環器系の検査
『看護に生かす検査マニュアル』より転載。
今回は、超音波検査(心臓)について解説します。
高木 康
昭和大学医学部教授
〈目次〉
- 超音波検査(心臓)・心エコーとはどんな検査か
- 超音波検査(心臓)・心エコーの目的
- 超音波検査(心臓)・心エコーの実際
- ・超音波検査(心臓)・心エコーの種類
- ・超音波検査(心臓)・心エコーで観察できる疾患
- ・超音波検査(心臓)・心エコーの必要物品
- ・超音波検査(心臓)・心エコーの方法
- 超音波検査(心臓)・心エコーにおいて注意すべきこと
超音波検査(心臓)・心エコーとはどんな検査か
心エコー法は、超音波(人間の耳には聞こえない振動数の高い音)を当てて跳ね返ってくるエコーを、リアルタイムで画像化し、非侵襲的に心臓の形態や動き、血流などを捉える検査である。
超音波検査(心臓)・心エコーの目的
- 心臓の形の異常を発見する形態的診断。
- 心臓の働きを見る機能的診断。
- 治療方法の選択。
- 治療効果の判定。
- 手術時期の決定。
超音波検査(心臓)・心エコーの実際
超音波検査(心臓)・心エコーの種類
超音波検査(心臓)・心エコーで観察できる疾患
超音波検査(心臓)・心エコーの必要物品
心エコー図装置、探触子(プローブ)、専用ゼリー、心電図、心音図、経食道心エコープローブ、タオル
超音波検査(心臓)・心エコーの方法
1)Mモード・断層心エコー法
- ①検査前に排尿を済ませ、(食事の制限はない)左側臥位で臥床する(図1)。
- ②プローブと身体表面の間に、あらかじめ保温しておいた専用のゼリーを塗布する。
- ③胸壁に専用探触子(プローブ)を直接当てて検査を実施する(図2)。
2)経食道心エコー法
- ①超音波装置と経食道エコー用探触子を接続する。
- ②検査4時間前より絶飲食とする。
- ③検査前に排尿を済ませ、座位で8%キシロカインスプレーの噴霧あるいはキシロカインビスカスを3~5分間喉に溜めて咽頭麻酔を行う。
- ④頭部に処置用シーツを敷き、左側臥位で臥床してマウスピースを固定する。
- ⑤専用プローブを静かに口腔より挿入し検査を実施する。
超音波検査(心臓)・心エコーにおいて注意すべきこと
- 検査自体は非侵襲性であるが、重度の心疾患患者は、臥床によりうっ血が憎悪し、状態が悪化する場合もある。また、経食道心エコーにおいては、咽頭麻酔やプローブのゴムカバーによるアナフィラキシーショックが起こる可能性もあり、検査室には救急カートの設置が必要である。
- 患者の体位は、通常左側臥位にしたほうが心臓(特に心尖部)が胸壁に近づくため、鮮明な画像を抽出できることが多い。体位保持のために、当て枕を患者の背部に入れて固定する。
- 呼吸による肺の動きが超音波の通過を妨げる場合があり、良好な画像を得るために呼気で5拍ほどの息止めが必要になるため、患者にそのつど説明し協力を得る。
- プローブをしっかりと当てなければ安定した心エコー図が記録できないため、ぐらつかないように把持しなければならない。しかし、あまり強く押しつけると患者の苦痛につながるとともに筋緊張により、超音波が入りにくくなることがある。
- 経食道心エコーでは食道内にプローブ挿入するため、食道疾患が存在する患者は禁忌である。
- 経食道心エコーの合併症として、プローブにおる食道の穿孔・出血があり、慎重な操作技術が必要である。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 看護に生かす検査マニュアル 第2版』 (編著)高木康/2015年3月刊行/ サイオ出版