頸動脈エコー|循環器系の検査
『看護に生かす検査マニュアル』より転載。
今回は、頸動脈エコー検査について解説します。
高木 康
昭和大学医学部教授
〈目次〉
頸動脈エコー検査とはどんな検査か
頸動脈エコー検査とは超音波Bモードで総頸動脈・内頸動脈を描出し、内膜・中膜複合体肥厚度(Intima-media complex thickening:IMT)の測定やプラークの有無を確認する検査である。また、Bモードにパルスドプラ装置を組み込んだものでは、血管壁の状態と血流速の情報が実時間的に評価できる。
頸動脈エコー検査の目的
頸動脈付近は動脈硬化の好発部位であり、内頸動脈のIMTや血流速を測定することは、全身の動脈硬化度の評価の指標となる。
また、頸動脈は脳血管の上流にあたり、脳血管障害の危険度を推定するには極めて重要である。
従来は、頸動脈の硬化判定には、血管造影法などを行っていたが、侵襲が大きいため、現在は非侵襲的で簡便なこの検査がよく用いられている。
頸動脈エコー検査の実際
<Bモード法とドプラ法>
- 仰臥位で行うが、内頸部の末梢などは顎骨の影響で描出しづらいため、患者にあごをひかせ、評価する頸動脈側に首をかしげさせる。
- ルーチンの検査であれば約15〜30分で終了する。
頸動脈エコー検査前後の看護の手順
1)患者への説明
- 動脈硬化の程度を知るための検査であり、痛みを伴う検査でない。
2)準備するもの
・超音波装置 ・潤滑ゼリー ・潤滑ゼリー拭き取りガーゼ
3)検査後の管理
- 検査後、潤滑ゼリーをふき取る。
頸動脈エコー検査現場での患者との問答例
これから、首の動脈を超音波で調べる検査をします。
その検査で何が分かるのですか。
そうですか。注射などするのですか。
注射はしません。多少、首を動かしていただきますが、痛くはないですし、20分前後で終わります。
わかりました。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 看護に生かす検査マニュアル 第2版』 (編著)高木康/2015年3月刊行/ サイオ出版