スペクト(SPECT)|脳・神経系の検査
『看護に生かす検査マニュアル』より転載。
今回は、スペクト(SPECT)について解説します。
高木 康
昭和大学医学部教授
〈目次〉
- スペクト(SPECT)とはどんな検査か
- スペクト(SPECT)の目的
- スペクト(SPECT)の実施
- スペクト(SPECT)前後の看護の手順
- スペクト(SPECT)において注意すべきこと
- スペクト(SPECT)現場での患者との問答例
スペクト(SPECT)とはどんな検査か
SPECTとは、single photon emission computed tomographyの略で、日本語では単一光子放射型コンピュータ断層撮影という。
微量の放射性同位元素(RI:ラジオアイソトープ)を体内に投与し、脳に集積した放射線(γ線;ガンマ線)を放出して、放射能の分布を断層画像として表示する検査である。
シンチカメラで撮影するので、脳血流シンチとも呼ばれる。
スペクト(SPECT)の目的
- 脳血管障害における局所脳血流の異常検出、脳血管反応性の評価、薬剤の局所脳循環に対する効果の判定
- てんかん患者における焦点の推定
- 認知症の病態解明
- 脳腫瘍における脳血流異常の観察
- 疾患の診断、進行の程度
スペクト(SPECT)の実施
- ベッドに横になって静脈からRIを注射し、身体を回転させてシンチカメラで撮影し、コンピュータで画像化する。
- 検査には数十分かかる。
スペクト(SPECT)前後の看護の手順
1)患者への説明
- 放射性医薬品(RIを含んだ薬)を投与し、脳の血流の状態を調べる検査である。
- 放射性物質を使うのでRI検査室という特別な部屋で行う。
2)検査前の処置
- 特になし。
3)準備するもの
- ①放射性同位元素(RI)
- ②シンチカメラ
- ③コンピュータ
4)検査後の管理
- 特になし。
スペクト(SPECT)において注意すべきこと
- 検査の前には排尿を済ませておく。
- 検査後、異常が認められた場合は、直ちに医師に報告する。
スペクト(SPECT)現場での患者との問答例
今日は脳血流シンチの検査があります。
それはどんな検査なんですか。
放射性物質を注射してカメラを使って脳の状態を見る検査です。
放射性物質って、体に害はないのですか。
量は微量なので心配はいりません。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 看護に生かす検査マニュアル 第2版』 (編著)高木康/2015年3月刊行/ サイオ出版