てんかんとは・・・
てんかん(epilepsy〈epi〉)とは、大脳皮質神経細胞の過剰興奮によって起こる、痙攣などの発作性症状を繰り返す慢性疾患のことである。一方、発作的に起こる不随意な骨格筋の収縮である痙攣とは定義が異なるため注意する。1回のみの発作や、脳波異常のみで臨床症状を欠く場合は、てんかんとは診断されない。
1000人当たり5~6人の有病率で、頻度の高い神経疾患である。乳幼児と高齢者で発症率が高く、特に高齢者はてんかん発作を最も発症しやすい年齢層である。高齢で初発のてんかん発作は、脳血管障害や脳腫瘍などから生じる症候性てんかんの可能性が高いため見逃さないことが重要である。
神経細胞の過剰興奮(脳波変化)が大脳の一部から始まる「局在関連性てんかん」と最初から大脳全体に生じる「全般てんかん」に分けられ、病因により、大きく特発性、症候性に分類される。特発性とは検査を行ってもはっきりとした原因がなく、他に脳の異常がないもの、症候性とは脳に外傷・血管障害・脳炎・低酸素脳症など器質性・代謝性障害があるものである。てんかんの約60%は特発性である。またてんかん発作の症状は「部分発作」と「全般発作」に分けられる。部分発作はさらに、発作中に意識があるものを「単純部分発作」、意識がないものを「複雑部分発作」と分類する。全般発作は欠神発作、ミオクロニー発作、脱力発作、強直発作、間代発作、強直間代性発作に分類される。
治療薬は、単剤投与が基本であり、部分発作はカルバマゼピン、全般発作はバルプロ酸が第一選択薬となる。