術後患者の循環管理|ICU における心臓血管外科患者の看護
『ICU看護実践マニュアル』(サイオ出版)より転載。
今回は、「術後患者の循環管理」について解説します。
木村満美子
市立青梅総合医療センター 看護師
黒木秀仁
市立青梅総合医療センター 看護師
術後患者の循環管理の目的
術後合併症を理解し、異常の早期発見に努め、術後の循環動態の安定化を図ることができる。
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モニタリング
血圧モニタリングは、観血的動脈圧ラインが挿入中は観血的動脈圧でのモニタリングが基本となる。
術式や患者ごとに病態や循環動態が異なるため、帰室後、必ず医師に目標血圧値などを確認する(表1)。
表1術式ごとの循環動態管理の目標
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回収血
帰室直後のACT値、人工心肺血量・回収式自己血輸血量を把握し医師にどれくらい投与するか確認する必要がある。
人工心肺血や回収式自己血輸血は、血液成分と薬剤成分が分離していることがあるため、投与の際には薬剤成分を投与しないように留意する。
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昇圧剤・降圧剤の選択
昇圧剤や降圧剤の使用の優先順位は患者ごとに異なるため、使用する順番を医師に確認する。
尿量
尿量が維持されているというのは、循環動態が安定している証の1つである。
基本的に術後の尿量は、0.5mL×体重(kg)以上確保する必要がある。
当院では2時間の尿量をみて、利尿剤投与指示に該当するか判断している。
術後2時間の尿量の見方は、図1に示したように1時間バイタルサイン測定時は、1時間ごとに前1時間の尿量を足してみていく。
図1心臓血管外科術後経過表(尿量測定)
利尿剤の投与は、患者の体重・状態・時期によって異なるため、使用に際しては医師に確認する必要がある。
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本連載は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『ICU看護実践マニュアル』 監修/肥留川賢一 編著/剱持 雄二 サイオ出版
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ICU看護実践マニュアル
ICU看護に必要なことを収載した書籍の目次ページ。ICUの現場で新人への指導や自身の知識の再構築にも役立つとともに、ICU看護の標準化・手順の見直しにも活用できます。