有料老人ホームは、看護師が働く介護施設の中で人気の高い職場です。有料老人ホームでの仕事内容や給料、メリット・デメリットなどを解説します。

【有料老人ホームの看護師】仕事内容は?働き方・スケジュールは?給料は?メリット・デメリット。

目次

有料老人ホームの看護師の仕事内容・役割

有料老人ホームで働く看護師の主な仕事内容・役割は「入居者の健康管理」です。

有料老人ホームとは

有料老人ホームは、入居者が介護や食事などのサービスを受けながら生活する施設です。

ほとんどの有料老人ホームは、民間企業が運営しています。その数はどんどん増えており、看護師の求人が最も多い介護施設です。

有料老人ホームには、

  1. 介護付
  2. 住宅型
  3. 健康型

-の3タイプがあります。

主に看護師の職場となるのは、1の介護付有料老人ホームです。

介護保険が適用され、看護職員の配置が義務付けられています。

有料老人ホームの入居者さんはどんな人?

有料老人ホーム(介護付有料老人ホーム)の入居者は、要支援・要介護の認定を受けた高齢者です。

入居者さんの要介護度は施設によってさまざまですが、特別養護老人ホーム(特養)に比べると、要介護度の低い方が多くなっています。

入居金もそれぞれで、ゼロ~600万円など低・中価格帯の施設もあれば、1000万円超の高価格帯の施設もあります。

高価格帯の施設では、看護師にもしっかりした接遇スキルが求められます。

有料老人ホームの看護師の業務は?

有料老人ホームで働く看護師の具体的な業務内容は、主に次のようなものです。

有料老人ホームの看護師 主な業務内容

  • 入居者の健康管理業務
    (体調確認・バイタルチェック、点眼や軟膏塗布の巡回処置など)
  • 医師の指導に基づく医療行為
    (胃ろう、喀痰吸引、在宅酸素療法の管理など)
  • 配薬準備、与薬
  • 通院介助、入退院のサポート
  • 診察介助
    (提携する医師の訪問診療の補助)
  • 看護記録
  • 施設全体の感染予防対策
    (介護職スタッフへの指導なども)
  • 外出レクリエーションの同行
  • 看取り・ターミナルケア

食事や排泄の介助、清潔ケア、口腔ケアなどは、基本的には介護職スタッフが担当します。

特養や老健との違いは?

同じ居住系の介護施設である「特別養護老人ホーム(特養)」「介護老人保健施設(老健)」と有料老人ホームの違いを一覧表にまとめました。

医師が常駐しているか、看護師の夜勤があるか、入居者さんの要介護度などに違いがあります。

【老人ホームの比較表】以下。項目:介護付有料老人ホーム:特別養護老人ホーム(特養):介護老人保健施設(老健)。看護師の配置:〇※1:〇:〇(夜勤あり※2)。医師の配置:×:△(非常勤可):〇(常勤)。入居者の要介護度:要支援・要介護:要介護度3以上:要介護度1~5。運営:民間施設:公的施設:公的施設。特徴:サービス内容が多様・費用負担は高め・施設数が多い:要介護度が高い・終身入居が可能・入居費などが安い:リハビリに重点・在宅復帰が目的・医療的ケアも。

※1 有料老人ホームでも夜勤のある働き方が増えています。

※2 老健の看護師の夜間配置は義務ではありませんが、夜勤のある施設が一般的です。

有料老人ホームでの看護師の働き方

有料老人ホームの看護師の働き方を詳しく見てみましょう。

1日のスケジュール

有料老人ホームで働く看護師(日勤)の1日のスケジュール例です。

【9:00】出勤、朝の情報収集、申し送り

夜勤スタッフからの連絡事項や記録などを確認し、入居者さんの状態を把握します。

【9:30】健康状態の確認・巡回処置など

入居者さんのお部屋で、ベッドに寝ている入居者さんのバイタルチェックをしている看護師のイラスト

入居者さんのお部屋(居室)を巡回し、バイタルチェックを行います。

点眼や軟膏の塗布といった定期の処置、入浴してもOKかなどの判断も合わせて行います。

【11:00】 配薬のセット

【12:00】食事のサポート

食事の様子を見守ります。ときには食事介助を通じて、嚥下機能やマウスケアの確認をすることも。

【13:00】休憩

【14:00】レクリエーションのサポート、定期処置、通院介助など

入居者さんとレクリエーションをしている看護師のイラスト

入居者さんの状態、施設のスケジュールに応じて、午後の業務を行います。

【16:00】看護記録の入力

【17:00】申し送り、食事のサポート

夕方のミーティングや申し送り、夕食のサポートを行います。

【18:00】終業

1日の仕事が終了!

キャリアアドバイザー

日勤帯で早番(8:00~17:00など)や遅番(10:00~19:00など)がある施設もあります。

夜勤・オンコールは?

有料老人ホーム(介護付有料老人ホーム)には、看護師を24時間配置する義務はありません。

そのため、施設によっては「日勤のみ・夜勤なし」の働き方も可能です。その場合、夜間はオンコール(自宅待機)で対応する施設が一般的です。

ただし、24時間常駐の手厚い看護体制をセールスポイントとする有料老人ホームも増えており、こうした施設では看護師の勤務を「日勤・夜勤の2交代制」としているケースもあります。

なお、看護師の配置基準は次のとおりです。

【介護付有料老人ホーム】看護師の配置基準(常勤換算)の比較表。以下、入居者人数:看護師・准看護師人数。~30人:1人。31~80人:2人。81~130人:3人。

キャリアアドバイザー

看護師が24時間常駐する有料老人ホームは増えています。オンコール対応や夜勤の有無は、求人情報などで必ずチェックしましょう。

有料老人ホームの看護師の給料

有料老人ホームの看護師の平均年収・給料、ボーナス、時給について見てみましょう。

※看護roo!「ナースなワタシのお給料」や求人相場などから独自に分析

【常勤】平均年収・給料・ボーナス

【常勤/有料老人ホームの看護師の給料】月収:25~35万円。ボーナス:45~70万円。年収:380~500万円。

有料老人ホームで働く看護師(常勤)の平均年収は約420万円となっています。

看護師全体の平均年収(約480万円)と比べると、60万円ほど低い額です。

有料老人ホームは、運営する企業や地域、働き方(夜勤やオンコールの有無など)、経験年数によってもかなり幅があります。年収500万~600万円という方も珍しくありません。

「オンコールもほとんどなく、日勤でこの給料なら良い」「夜勤があっても、病棟より落ち着いて働けるので満足」と感じる看護師さんが多いようです。

【パート・バイト】平均時給

【パート・アルバイト/有料老人ホームの看護師の時給】1500円~2000円。

有料老人ホームで働く看護師(パート・アルバイト)の平均時給は約1700円となっています。

都市部では比較的高い傾向にあるなど、地域差もありますが、おおむね上記の額が相場となっています。

有料老人ホームで働く看護師のメリット・デメリット

看護師が有料老人ホームで働く場合のメリット・デメリットをまとめました。

有料老人ホームで看護師が働くメリット3つ

【有料老人ホームで働く看護師のメリット】1.日勤メインの働き方も可能。2.介護施設では給料が高め。3.長期的にかかわる看護ができる

1日勤メインの働き方も可能

有料老人ホームには、看護師の夜勤がない施設も少なくないため、日勤のみを希望する方の選択肢になり得るでしょう。

「日勤夜勤を繰り返す生活リズムが合わず、身体がつらい」という方におすすめです。

また、緊急入院などの「急な業務」が発生しにくいので、残業も少なめで、小さいお子さんがいる方も安心。妊娠・出産・育児を経ても長く働きやすい職場でしょう。

キャリアアドバイザー

夜間のオンコールがある場合は、どんな体制でどのくらい担当するのかなどを確認しましょう。

2介護施設では給与水準が高め

また、最近では、日勤・夜勤の交代制をとる有料老人ホームも増えています。

「夜勤で働くのもOK!」という方は、病棟勤務と変わらない年収を維持することも可能です。

キャリアアドバイザー

「介護施設の看護に興味はあるけど、収入が減るのは困る…」という方は、夜勤ありの有料老人ホームを検討してみるのもおすすめです。

3長期的にかかわる看護ができる

生活の場である有料老人ホームでは、入居者さんの生活に長く寄り添い、じっくりかかわる看護を実践できます。

治療が優先される病院看護とは異なる魅力です。

健康管理が中心の業務内容は、生活支援や予防的なケアが好きという方に向いています。

終のすみかとして最期のときをホームで迎える入居者さんも多く、看取り・ターミナルケアに関心があるという方にも良いでしょう。

また、医師が常駐していないため、入居者さんを医療の面から支える役割は看護師が中心となります。

この点でも、病院とは違ったやりがいを感じられるでしょう。

有料老人ホームで看護師が働くデメリット3つ

【有料老人ホームで働く看護師のデメリット】1.看護師が少ない不安。2.処置スキルが鈍りがち。3.オンコールがある。

1看護師が少ない職場への不安

有料老人ホームでは、看護師の人員配置が少なく、常駐する医師もいないため、プレッシャーや不安を感じる方もいるかもしれません。

ですが、現場の看護師だけで解決するのではなく、フォロー体制を取っている施設がほとんどです。

同じホームの看護師同士はもちろん、複数のホームを運営する法人であれば、近隣エリアの看護師とも連携を取れたり、法人本部に相談・アドバイス担当の看護師がいたりと、一人で抱え込まないように工夫されています。

また、入居者さんの急変などに備えたマニュアルが整備されているほか、医療上の判断が必要なときには連携する医療機関の医師に指示をあおぐのが基本です。

現場の看護師一人が過度な責任を負うことはありません。

2処置スキルが鈍りがち

有料老人ホームでは比較的、要介護度・医療依存度が低く、状態の落ち着いた入居者さんが多いため、高度な医療処置が必要な場面はあまりありません

このため、処置スキルが鈍るというデメリットを感じるかもしれません。

一方で、入居者さんのQOLを高く維持し、長期にわたって健康と生活をサポートしていくために、有料老人ホームの看護師は、高いアセスメント力やコミュニケーション力、予防的なケアの視点が鍛えられます

3オンコールがある

有料老人ホームで夜勤がない場合、オンコール体制を取っている施設が一般的です。

たいていは、日勤(常勤)の看護師が交代でオンコールを担当します。

【例】日勤(常勤)の看護師が2人いる

→1人あたり月15日程度がオンコール担当

担当者は、専用の携帯電話を持って、いつでも電話に応じられるようにしておきます。

オンコールの内容は転倒や熱発などが多く、ターミナルの入居者さんがいる場合は、その連絡が入ることもあります。

キャリアアドバイザー

担当する日数や電話が鳴る頻度、実際に出勤する必要の有無などは、施設によっても異なるので、面接などの際に確認しておくことをおすすめします。

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