訪問入浴で働く看護師の仕事内容 単発バイトも人気!役割や仕事の流れは
訪問入浴は、お風呂に入れない利用者さんの自宅を訪問し、入浴介助を行うサービスです。看護師にとっては単発のアルバイトとしても人気のお仕事です。
訪問入浴での看護師の役割や仕事内容、給料、メリット・デメリットを解説します。
目次
訪問入浴で働く看護師の仕事内容・役割
訪問入浴で働く看護師の仕事内容・役割は、主に利用者さんの健康状態のチェックと入浴介助です。
訪問入浴とは
訪問入浴は、利用者さんのご自宅を訪問して入浴をサポートするサービスです。
組み立て式の簡易浴槽を運び込んで入浴介助を行います(「訪問介護」での入浴介助は、ご自宅の浴室・浴槽を使います)。
看護師(または准看護師)1人・介護職スタッフ2人の3人1組でサービスを提供します。
訪問入浴の利用者さんはどんな人?
訪問入浴を利用できるのは、要介護1~5で医師の入浴許可がある人です。
※要支援1~2の方は、条件によっては「介護予防訪問入浴介護」として利用可能
自力でお風呂に入れない・自宅の浴室では介助しにくいといった方が利用されるため、実際には要介護度4~5の方が多くなっています。
先輩からひとこと
定期的に利用される方もいらっしゃいますが、お看取りが近くなって「最後にお風呂に入りたい、入れてあげたい」というご利用もあります。
訪問入浴でやりがいを感じる瞬間のひとつです。
訪問入浴の看護師の業務内容
訪問入浴での看護師としての業務は、健康状態の確認と「入浴してもOKか」の判断がメインです。
訪問入浴の看護師 主な業務内容
- 利用者さんの健康管理
(体調確認、全身状態の観察、バイタルサインのチェックなど) - 入浴の可否の判断
- 入浴介助
- 軟膏塗布などの簡単な処置
訪問入浴の看護師は医療行為NG
訪問入浴では基本的に入浴サービス以外のケアは行われず、訪問入浴の看護師は、原則として医療行為が認められません。
入浴前後の保湿ケア、褥瘡部分の保護、輸液バッグやカテーテルの保護などは行いますが、痰の吸引やカテーテルチューブの交換といった医療的なケアは実施しません。
先輩からひとこと
医療的なケアが必要な方は別途、訪問看護などを利用することになります。
訪問入浴では介護職スタッフがメインとなりますが、看護師も入浴の介助を行ったり、場合によっては浴槽の運搬や片づけを手伝ったりすることもあります。
力仕事が多く、1日に数件回るとなると体力のいる業務ではあるので「正職員で毎日働くのは身体がキツい…」「腰痛が…」という声もあるようです。
そのため、訪問入浴の看護師は正職員だけでなく、単発のアルバイト、週数日の派遣やパートといった働きかたも人気があります。
訪問入浴での看護師の働き方
訪問入浴の看護師は、基本的に日勤のみで夜勤のない勤務スタイルです。
1日のスケジュール例
訪問入浴で働く看護師の1日のスケジュール例です。
【8:30】出勤・ミーティング・物品の準備
その日に訪問する利用者さんの情報を共有し、必要な物品を準備します。
3人1組で訪問入浴車に乗り、利用者さん宅へ出発します。
【9:00】利用者さんのご自宅に到着
利用者さんのご自宅に着いたら、訪問入浴を開始します。
1件あたりの訪問時間は50~60分です(利用者さんの状態やケア内容に応じて延長される場合もあります。
午前中に2~3件を回るのが一般的です。
【12:00】休憩
【13:00】午後の訪問
午後の訪問に出発。午後は3~4件ほど回ることが多いでしょう。
【17:30】終業
事業所に戻り、記録や夕方のミーティングなどが終われば業務終了!
先輩からひとこと
あらかじめ決まったスケジュールで動く訪問入浴は、予定外の業務が発生しにくいお仕事ですが、交通渋滞などがあるとスケジュールが遅れる場合もあります。
訪問入浴で働く看護師の給料
訪問入浴で働く看護師の平均年収・給料、ボーナス、時給について見てみましょう。
※看護roo!「ナースなワタシのお給料」、求人相場などから分析。
【常勤】平均年収・給料・基本給・ボーナス
訪問入浴で働く看護師(常勤)の平均年収は約380万円です。給料相場は上記の通りとなっています。
看護師全体の平均年収(約480万円)と比べると100万円ほど下がる傾向です。
【アルバイト・パート】平均時給
訪問入浴で働く看護師(アルバイト・パート)の平均時給は約1600円です。
地域差もありますが、おおむね1400~2300円が相場となっています。
訪問入浴の看護師の求人は、アルバイトやパート・派遣が多いのが特徴。
そのため、急なスタッフ確保が必要となった単発バイトなどでは、まれに時給2500円を超える好条件の求人が発生することもあります。
また、日払い・日給の求人もあり、その場合の日給相場は1万2000~1万8000円ほどです。
訪問入浴で働くメリット・デメリット
看護師が訪問入浴で働くメリット・デメリットをまとめました。
訪問入浴で看護師が働くメリット3つ
1日勤のみで働ける&土日休みも
訪問入浴の仕事は、日勤のみという働き方が何よりのメリットでしょう。
また、訪問入浴の事業所は「土日祝日は休み」「日曜と祝日は休み」としているところが多いので、週末のお休みが取りやすい点も魅力です。
きっちりした訪問スケジュールで動くため、基本的に残業も多くありません。
「子どもが小さく、お迎えの時間がある」「家庭との両立を重視したい」という方に良いでしょう。
2ブランクありも安心、バイトや副業にも◎
訪問入浴の仕事は、高度な医療処置はほとんどなく、急変などで看護師が責任を負う場面も多くありません。
子育てなどでブランクがある看護師さんが復帰する職場として選びやすいでしょう。
多様な求人があり、未経験でも取り組みやすいので、看護師の単発のアルバイトや副業にも向いています。
時給が高めで求人も多い訪問入浴のバイトは、休日や勤務後の時間を有効に使いたい看護師さんにとっても魅力が大きいですね。
3在宅を経験してみたいナースにもオススメ
訪問入浴は、在宅ケアに関心のある看護師さんにもオススメ。
訪問看護に比べて医療的なケアが少なく、訪問先での仕事も単調ですが、その分、ハードルが低いのがメリットです。
利用者さんの暮らしの中でケアを提供する訪問入浴を通して、個別性の高い在宅ケアの魅力を体感することができます。
「あー、いい気持ち」と喜ぶ笑顔や、「最後にお風呂に入りたい」「これが最後のお風呂になるかもしれないから、ゆったり湯船に浸からせてあげたい」というお気持ちに寄り添えるのもやりがいとなるでしょう。
訪問入浴で看護師が働くデメリット3つ
1力仕事が多く、身体がきつい
訪問入浴は、やはり「体力的にきつい仕事」に入るでしょう。
利用者さんは要介護度4以上の方が多く、ベッドから浴槽までの移動介助や着替えの介助など、どうしても力仕事が多くなります。
場合によっては、エレベーターのない2~5階のお宅を訪問することもあるので、身体的なハードさは否めません。
体力に自信のある方、腰痛などのトラブルがない方が向いているでしょう。
2医療処置が少なく、物足りない
訪問入浴はその名の通り「入浴」の提供がサービスの中心で、看護師としてのスキルを発揮する場面は多くありません。
もちろん、入浴は利用者さんにとって体力を消耗することでもあるので、医療者である看護師の役割は大切です。
ですが、「医療処置が好き」「看護師として処置のスキルは鈍らせたくない」という方が長く働く場としては不向きかもしれません。
3スピードが求められがち
訪問入浴はスピードが求められる仕事です。
1件あたりの訪問時間は50分前後と決まっています。
この時間の中で、健康状態のチェック、入浴前後の着替え、洗髪などを含む入浴、浴槽の準備・片付けまでを行うのです。
次の利用者さんも待っているので、チームを組む介護職スタッフとも連携し、テキパキとスピーディーに動く必要があります。
こうして1日に数件を回る仕事のスタイルに、どこか慌ただしさを感じる方もいるかもしれません。