ないときは?代表例4つ・面接の答え方例文 看護師のキャリアプランはどう考える?
仕事にも慣れてきたタイミングや、まわりが結婚や出産、転職をした話を聞いたとき、ふと自分のキャリアプランについて考える看護師さんは少なくありません。
そんな看護師さんに向けて、看護師のキャリアプランの代表例や、自分に合ったキャリアプランの考え方などを解説します。
目次
看護師のキャリアプランとは?
看護師におけるキャリアプランとは、どんな職場でどんな経験を積み、将来的にどんな看護師になりたいかという、看護師としてのキャリアの目標やその実現に向けた計画のこと。
仕事のことだけではなく、結婚や出産、子育てや介護といったプライベートやライフイベントについてもあわせて考えます。
看護師さんにとって、キャリアプランを考えることには、下記のようなメリットがあります。
自分に合った働き方を見つけやすくなる
キャリアプランを考えることで「こんなふうに働きたい」「こんな看護師になりたい」という希望や目標がハッキリするため、自分に合った職場や働き方を見つけやすくなります。
また、希望に合わない選択をして、のちのち「私、こんなところで何しているんだろう…」などとモヤモヤしてしまうリスクも減らせます。
転職を考えたときも、どんな職場を選ぶべきか、判断に迷いづらくなるでしょう。
仕事のモチベーションにつながる
キャリアプランが定まると、目標や目指すべき方向性がハッキリするため、どんな仕事も自分にとって意味があるという納得感が生まれ、やりがいやモチベーションの向上につながります。
たとえ忙しいときや思い通りにいかないときでも、「自分で決めたことだから」「これも目標に向かう一歩なんだ」と、前向きに捉えて頑張ることができるでしょう。
看護師の代表的な4つのキャリアプラン
キャリアプランを考える上で、まずは看護師の代表的な4つのキャリアプランを見てみましょう。
1ジェネラリスト
ジェネラリストとは、特定の分野に限定せず、他のスタッフと連携しながら臨床現場の第一線で患者さんにケアを提供する看護師のこと。
どんな患者さんに対しても臨機応変に知識・技術を発揮しながら、適切な看護・ケアを実践することが求められます。
病院やクリニック、在宅領域など、さまざまな現場で活躍する看護師さんの多くは、このジェネラリストに当たるでしょう。
ジェネラリストを目指すには?
ジェネラリストになるための決まった手段はありません。今いる病院で経験を積むのもよし、転職して他の病院やクリニック、訪問看護などを経験したりするのもよし。
大切なのは、さまざまな患者さんや疾患を知ることです。
2スペシャリスト
スペシャリストとは、専門分野に関する深い知識・技術・経験を持つ看護師のこと。
エキスパート職として専門性の高い看護・ケアを実践することはもちろん、チーム全体の看護レベルを高めるために、他スタッフへの指導や知識提供なども行います。
スペシャリストの中には、例えば「在宅ケア認定看護師」の資格を取得し訪問看護師として働くなど、病院とは別の領域で活躍している看護師さんもいます。
スペシャリストを目指すには?
スペシャリストとして活躍する手段としては、特定の分野で経験を積みながら、認定看護師や専門看護師の資格取得を目指すのが一般的です。
他にも特定行為研修を受けたり、学会認定の資格や診療看護師の資格を取ったりすることも、スペシャリストとしてのキャリアアップにつながるでしょう。
3管理職
看護師における管理職とは、看護師長や看護部長などを指し、チーム・組織の運営を担います。
病院のほかにも、訪問看護ステーション管理者や介護施設の施設長を務める看護師さんもいます。
管理職は、チーム・組織全体で質の高い看護・ケアを提供するマネジメントを担い、院内外の多職種と連携しながら、スタッフの育成指導や労務管理、ベッドコントロールなどさまざまな調整業務を行います。
管理職を目指すには?
病院の場合は、一つの職場に長く勤め、スタッフ指導やチームの取りまとめ業務の経験を積んでいくのが一般的でしょう。
また、認定看護管理者研修、訪問看護ステーション管理者研修、施設長資格認定講習などを受ける必要があることも。
4教育者・研究者
教育者・研究者として、看護学校・研究機関で看護師の養成や看護研究に携わるキャリアもあります。
具体的には、専門学校の専任教員になったり、大学で助手や助教、教授として指導・研究をしたりといった働き方になります。
教育者・研究者を目指すには?
教育者・研究者としてのキャリアを築くには、臨床経験を積み必要な研修を受けた上で、専門学校や大学の求人に応募するのが一般的です。
助教などの大学教員になる場合、応募要件として修士や博士の学位が必要なケースが多いでしょう。
看護師のキャリアプランは、「働く場所」の視点で考えることもできます。
看護師の働く場所は、大きく「病院」か「病院以外」かに分けられますが、最初の職場は病院という看護師さんがほとんどでしょう。
しかし、その後のライフステージや価値観の変化によっては、「病院以外」の職場でキャリアを積んでいく看護師さんも珍しくありません。
「病院以外」の職場として、具体的には下記のようなところが挙げられます。
看護師が病院以外で活躍できる職場(職種)
- 診療所(クリニック)
- 美容クリニック
- 健診センター
- 介護施設
- 訪問看護ステーション
- 保育園
- 看護学校(看護教員)
- 治験コーディネーター・臨床開発モニター(CRC・CRA)
- 産業看護師(保健師)
- 地方自治体
- 保健所
- 自衛隊
- 厚生労働省(看護系技官)
…など
中には「日勤のみ」「土日休み」で働ける職場もあるので、プライベートとの両立を理由に転職する看護師さんも多くいます。
「病院以外」で働くには、病院で3年以上の臨床経験を積んでから転職するのが一般的。
職場によって仕事内容や待遇は異なるので、下記の記事から気になるところをチェックしてみましょう。
キャリアプランが「ない」…そんなときの考え方
自分にとってしっくりくるキャリアプランがない、将来のことをどう考えたらいいかわからない…そんなときにできることを紹介します。
「自己分析」をしてみる
どんなキャリアを築いていきたいか悩んでしまう場合、まずは「自己分析」をするのがオススメ。「今の仕事・働き方についてどう感じているか」「数年後にどんなふうに働いていたいか」という、近い未来のことから考えてみましょう。
具体的には、これまでのキャリア・経験を振り返り、やりがいを感じた瞬間や、うまくできたことを整理したり、看護師になろうと思ったきっかけを思い出したりしてみましょう。
そうすることで、自分の適性や働く上で大切にしたいことなどがだんだんと言語化され、自分の希望に合った働き方がハッキリしてきます。
自己分析の具体的なやり方については、下記の記事も参考にしてみてください。
先輩に話を聞いてみる
キャリアプランを考える上で、先輩に話を聞いてみるのも良いでしょう。
自分と同じ年齢のときにどんなことをしていたのか、何を考えて今に至るのかなど、いろんな人の話を聞いてみましょう。苦労した経験なども含めて、リアルな話を聞けるはずです。
話しやすい先輩や上司が身近にいない場合は、書籍やWebなどで、先輩看護師の体験談やインタビュー記事を読んでみるのもオススメです。
下記の記事では、3年目・4年目ナースのキャリアに対するホンネを紹介しています。こちらもぜひ参考にしてみてください。
研修やセミナーに参加してみる
院内外の研修やセミナーに参加することで、キャリアプランを考えるためのヒントが得られることもあります。
一つの病院で限られた人とだけ交流していると、どうしても考え方が凝り固まってしまうことも。研修やセミナーで他の看護師の話を聞くことで、視野が広がるでしょう。
キャリアアドバイザー
看護roo!「おしごと図鑑」では、看護師が働けるいろいろな職場を紹介しています。
職場ごとの仕事内容や特徴を見比べるうちに、気になるところが見つかるかもしれません。よかったらあわせてチェックしてみてくださいね。
みんなのキャリアプランは?
キャリアに対する考え方について、4人の若手看護師さんの事例を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
今の病院で経験を積みたい
二次救急の総合病院で3年間働いています。
患者さんの入退院も激しくかなり忙しい職場ではあるのですが、その分いろんな疾患を学べるので、看護師としての知識・技術を深められている実感があります。
リーダーの経験も重ねる中で、最近はチーム全体で適切なケアを実践するための取りまとめ業務にも興味が出てきました。
人間関係も良く、身近に子育てをしながら活躍している先輩もいるので、自分も結婚して出産するまでは、ひとまずこの病院でしっかり働き、看護師としての幅を広げたいと考えています。
興味のある分野を極めたい
総合病院の循環器内科で3年間、経験を積みました。
心不全の患者さんが多い病棟なのですが、しっかり指導をしたつもりでも入退院を繰り返す方もいて、この病気のことをもっと理解したい、看護師としてもっとできることを増やしたいと思うようになりました。
そんなタイミングで「心不全看護」の認定看護師の存在を知り、この分野のスペシャリストを目指しています。
資格取得には通算5年以上の実務研修が必要(※)なのですが、少しでも目標に近づくために、認定看護師が多く、資格取得に向けたサポート環境がある病院への転職を考えています。
※そのうち3年以上は認定看護分野における実務研修
学生時代から興味のある分野に挑戦
総合病院の病棟で働き始めて3年目になり、やはり学生時代から興味のあった訪問看護の領域にチャレンジしたいなと思えてきました。
ただ、訪問看護は病院と違い、患者さんの自宅に看護師一人で伺うことになるため、自分の判断で一通りの業務ができるように、あと1年、今の職場で経験を積もうと考えています。
同時に、教育体制の整った訪問看護ステーションの情報収集も進めたいです。
子育てと両立できる働き方を模索
新卒で入った総合病院で5年目を迎えました。
昨年パートナーと結婚し、そろそろ子どもも欲しいのですが、今の職場は託児所がなく、自宅からも遠いので、体力や保育園の送り迎えのことを考えると、パートタイムに変更するか、近所のクリニックに転職することも視野に入れています。
育児をする中で考え方や優先度は変わると思いますが、子育てが落ち着いたタイミングで病棟に復帰できるよう、今はどんな形であれ、看護師として働き続けたいと考えています。
面接で聞かれたときの答え方・回答例文
看護師の面接では、下記のような形で、キャリアプランを聞かれることが少なくありません。
〈面接でのキャリアプランの質問例〉
- 今後のキャリアについて、どのように考えていますか?
- (応募先の病院で)入職後、どのような経験を積んでいきたいですか?
面接でキャリアプランを聞かれたときは、まず「(応募先の病院で)こんな看護をしていきたい」「(将来的に)こんな看護師になりたい」という結論を述べます。
その上で、どんな経験やきっかけがあってそう考えるようになったのか、具体的なエピソードを交えながら伝えましょう。最後は意気込みを一言添えると、締めやすくなります。
ここでは2つの例文を紹介します。
ジェネラリストを目指している場合
例文(ICU→一般病棟)
貴院で病棟看護の経験を積み、どんな患者さんに対しても、対話しながら適切なケアや治療ができるジェネラリストになりたいと考えております。
新卒で入った総合病院のICUで経験を積む中で、病棟に移った患者さんを退院までサポートしたい、また、病棟看護を経験することで看護師としての幅を広げたいという思いが、次第に強くなったからです。
病棟看護は未経験ですが、ICUの経験や知識を活かしながら、イチから学んでいきたいと考えております。
スペシャリストを目指している場合
例文(消化器内科→緩和ケア)
がん診療に力を入れている貴院で、緩和ケアの経験を積み、ゆくゆくは緩和ケア認定看護師にもチャレンジしたいと思っております。
総合病院の消化器内科病棟で3年間経験を積みましたが、がん患者さんが不安や痛みを涙ながらに打ち明けてくださることも多く、その辛さを少しでも楽にしてあげられる看護師になりたいと思うようになりました。
緩和ケアについてはまだまだ勉強中ですが、貴院で少しでも多くの患者さんと関わり、知識や技術を深めていければと思います。
キャリアプランは志望動機にもつながってくるので、もし履歴書を書いたり面接を受けたりする予定があれば、下記の記事から志望動機の書き方や例文もチェックしてみましょう。
キャリアアドバイザー
看護師のキャリアプランは、ライフステージや周りの環境などによって、変化していくものです。
節目節目のタイミングで、自分にとってしっくりくる選択をすることが、良いキャリアにつながるでしょう。